保険は一般的な商品に比べ開発、販売に時間がかかることから、新商品の展開には大きなコストがかかる。故に失敗はできないし、エッジの立った商品はなかなか生まれないのが特徴だ。そんな事情がある中で、同社グループにそもそも「健康年齢」を算出するノウハウがあったことは、挑戦を後押しする大きな強みだったわけだ。
健康年齢少額短期保険の大橋宏次社長は言う。
「健康増進型保険は海外では既に展開されていた商品ですが、日本人にとっては非常に新しさを感じる保険だと思います。この保険をきっかけに契約者の行動変容を促せることはもちろん、健康診断を受け、『健康年齢』を算出することをきっかけに、自分の健康状態に対する気づきを得ることができるのも大きいでしょう」
しかし発売後2年半が経過し、売れ行きは「まだまだこれから」と大橋社長は苦笑いを浮かべる。
「まず『健康年齢』を算出することが手間と考える消費者は少なくない。いくら健康ブームといえど、わざわざ自分の健康診断結果の数値を画面にポチポチと入力するのは億劫という人は多いです。最近では他社の健康増進型保険の中にも、我々の『健康年齢』を保険料決定の基準として採用するものも増えているので、大手各社の力も借りながら、まずは『健康年齢』の認知度を上げていくことが課題です」(大橋社長)
今後は企業単位の顧客を抱える代理店などとタッグを組みながら、健康経営に取り組む企業をターゲットに営業に力を入れていくという。
■オンライン専売で若年層にアプローチ
「健康年齢」を基準に保険料を決定している保険商品が出てきた。その一つが、アフラックが展開するオンライン専用の「アフラックの健康応援医療保険」だ。同商品は、「健康年齢」が実年齢未満なら年に1回「健康還付金」を60歳まで受け取ることができる。
開発を手がけた新規事業推進部長の坂本哲也氏は「半歩先行くオンライン申込み完結型の保険」と、同商品を説明する。
「私たち新規事業推進部は『本業である保険と保険以外を組み合わせることでビジネスフロンティアを築く』というミッションを担う部署です。当社にはこれまでオンラインで保険を販売する基盤がなく、これからの時代、より若い層や対面ではリーチできない層にもアプローチしていかねばならないことを考え、オンラインで加入できる、より手軽な保険に挑戦したいと思いました。その中で健康増進型保険を商品として選んだ理由は、この保険が海外で今勢いのある保険だったからです。国内では新規性がありますし、我々がこだわった「オンライン申込み完結」というチャレンジとも、相性がいいと思いました」(坂本氏)