保険料の変動ではなく、インセンティブを毎年「還付金」という形で提供することも特徴だ。健康還付金は「30歳女性」のケースだと1500円となり、年齢が上がる程、その金額は上がっていく。
このように還付金スタイルを採用した理由は、「契約者にとって保険のハードルを下げたかったから」と坂本氏は説明する。
「ターゲットとするのは『最近なんとなく健康に気を遣って、食事はサラダから食べ始めました』といった人。健康増進型保険は、健康状態によって保険料が上下するというストレスを抱えるよりも、頑張った人に還付金をお渡しする方がご褒美感があり、健康への実感がより湧くのではと思いました」(坂本氏)
またオンライン専用ならではの生命保険業界初となる「電子証券に関する特約」を付加した場合、初回保険料の300円割引を受けられる。人間ドック・健康診断の予約などができるアプリ「ココカラダック」などと合わせ、より保険というものへの入り口を広げられるのではと期待する。
■南アフリカ発の健康増進型保険もスタート
健康増進型保険は、実は国外ではメジャーな保険だ。中でも世界的に評価が高いのが1997年に南アフリカで誕生したディスカバリー社の保険「Vitality」である。世界各国8社の保険会社にて販売され、18年9月時点で890万人の加入者がいる。
健康増進型保険の“起源”が南アフリカにあったという社会背景には、現地の医師不足や統一された公的医療保険がないこと、医療費の高騰などが挙げられる。一方、生命保険が健康な生活を選ぶことの動機付けとなり、人々に行動変容を促してくれるという点は、国や時代を超え、人生100年時代と言われ、長寿化・高齢化が進む今の日本人にとっても大きなメリットとなるのは明らかだ。
そんな「Vitality」を、国内では18年7月に住友生命が発売している。
同商品は医療保険などに健康プログラム契約を付加するもので、まず加入時点でベースとなる保険料が15%割引となる。その後契約者の健康状態や日々の運動などをポイント化し、1年間の累計ポイントに基づきステータスを4段階で判定。このステータスに応じて翌年の保険料が変動する仕組みだ。一定の基準をクリアする活動を毎年続けていれば、最大30%保険料が割り引かれる。一時点の健康状態だけでなく、加入後の継続した健康増進への取組みを評価するところが最大の特徴だ。