飯島さんのこうした原稿へのこだわりは、約2年2カ月の連載の期間中、ずっと同じテンションで続いた。連載終了が決まったとき、飯島さんや事務所スタッフと、「もうやらないでいいんだね。つくづく、ほっとしたね」と笑い合ったことを覚えている。ごめんね。
と、前置きが長くて「くどくない?」と飯島さんに怒られそうなので、連載のなかで思い出に残っているコラムを、いくつか紹介しようと思う。まず、完成した原稿を読んで、思わず一緒に笑った記憶があるのは、「パンスト」(著書『生病検査薬≒性病検査薬』に収録)。
「とにかく超カッチョ悪いのよ」
久々にオシャレをしてでかけようとした飯島さんが、出がけにブーツのファスナーにパンストを引っかけてしまったときのこと。
<<それにしても、新しいパンストにはき替えている姿は、男性が描いている女の姿とはほど遠い。エロチシズムのかけらもない。
パンストのつま先部分になんとか自分のつま先をたどりつかせ、あとは必死でたくし上げる。最後にパンストのウエスト部分を引っ張りながら、足を曲げたり伸ばしたり。これで、またの間のたるみはすっきり解消。その姿なんて、人が見たらシコ踏んでるみたいかも。とにかく超カッチョ悪いのよ。>>
<<誰かの視線を意識しないと、(パンストを履くときに)指が脚の上を滑っていくように、いやらしくは動かないんです。ただそんなこと、日ごろ意識していたら身がもたない。おばちゃんみたいな生活を、誰だってしてるのです。>>
そしてたたみかけるのだ。
<<みなさん、よーく聞いてくださいね。若いおねーちゃんや人の奥さんが色っぽく見えるのは、「人前の顔」しか見ていないからですよ。
逆に家の中でパンストをまじめな顔でたくし上げているあなたの奥さんだって、他人から見れば色気たっぷりってこともあるものです。
なんて、人のことをフォローしている場合ではない。とにかく私、最近ブサイクだし、おばちゃんみたいだ。おそろしいことに、ときにはおじちゃんみたいなときだってある! 本当にまずい……。>>