2018年、平成30年もいよいよ残すところ2週間となった。この一年を表す漢字として「災」が選ばれたというニュースがあったが、これは政治の世界にも当てはまる。
とりわけ、最近目立っているのが、官僚が国民を騙す事件が多発していることだ。本来、国民のために働くはずの官僚たちが、安倍晋三総理の意向を忖度して、国民を欺くというのは国民にとっては、想定外の「災い」である。
さらにこの一年に限ってみると、官僚の国民を騙すやり方がかなり「悪質化」してきている。官僚機構の劣化は第二段階に入ったと見てよいのではないだろうか。
例えば、森友・加計事件の時の佐川宣寿元理財局長や柳瀬唯夫元総理秘書官の「虚偽答弁」のケースは、安倍総理の進退に関わる案件について、官僚たちが本意ではないが、やむにやまれず追い込まれて行った不正という性格が強い。これが官僚機構劣化の第一段階である。
これに比べて、働き方改革法案や外国人労働者受け入れ拡大法案などをめぐるデータ捏造を見ていると、むしろ、安倍政権から見れば、「なんでそんな馬鹿なことをしてくれたの?」と言いたくなるようなお粗末な不正である。これは、官僚の側が自ら「ワル知恵」を出して安倍政権に媚びる「忖度競争」の結果、「悪貨が良貨を駆逐する」現象が生じていることを示している。そして、その先には恐ろしい事態が待っている。
■官僚の劣化の第二段階が意味するのは歯止めなき「独裁政権」への道
官僚には能力の高い人が比較的多い。普通の官僚は良心も持ち合わせている。正義感もあるし、不正と闘う勇気もあるはずだ。
しかし、安倍総理が意図しているかどうかにかかわらず、政権と官僚の間のいい意味での緊張感、牽制関係が失われ、安倍政権が一方的に優位に立つ構造が成立してしまったことによって、ほとんどすべての官僚たちに良心を放棄させ、正義感を忘れさせ、政権の過ちを指摘する勇気も失わせてしまったように見える。安倍総理や閣僚たちの大きなスキャンダルが、結局はうやむやにされ、一時的に支持率に影響を与えても、時間が経つと回復する。今度こそ終わりだなと思った政権の危機もなぜか最後は何事もなかったかのように政権が乗り越えてしまう。最近では、スキャンダルが出ても、またか、という反応の方が強くなり、どうせ一時的な騒ぎで終わるだろうと多くの人たちが思ってしまう。いわば、スキャンダル不感症が蔓延しつつある。これが続くとどうなるのか。