実は、痩せの問題は、アスリートに限りません。スペインやイスラエル、ベルギーやイタリア、チリなどの国々では、痩せすぎのモデルをファッションショーに出演させることを法律で禁止しています。

 2017年5月には、ファッションの中心地であるパリでも、極端に痩せているモデルの活動を禁止する法律が施行されました。フランスではスリムなモデルに憧れるあまり、多くの女性が拒食症に陥っています。法律の施行は、そんな現状改善を促すことが目的だと言います。

 日本はどうでしょうか。日常生活において、ダイエットの広告に目に触れないなんてことはありません。実は、第二次世界大戦以降、日本人女性の痩せが問題視されています。2002年以降、若年女性の摂取エネルギーは終戦後すぐの都市部の平均摂取エネルギーを下回っています。ランセットに掲載された、1975年から2014年までの世界200カ国の成人におけるBMIを調べた調査によると、痩せの日本人女性は、1975年の440万人から2014年の570万人に増加していたことがわかりました。

 アスリートだけでなく、現在の日本人女性にとって痩せることは大変関心が高いと言わざるを得ません。けれども、減量やダイエットに歯止めがきかなくなり、摂食障害、月経不順や無月経、さらには骨粗鬆症まで引き起こしてしまうことになりかねません。綺麗になりたいと思い減量すると、将来にまで影響を与えてしまうということを、どうか忘れないでくださいね。

◯山本佳奈(やまもと・かな)
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー、CLIMアドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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