2016年5月11日の米国の地方紙において、女性アスリートの健康に関する記事が大きく取り上げられていました。ダイエットによる貧血、月経周期の乱れ、骨密度の低下の3つの問題が、女性アスリートの健康に大きな影響を与えているのだと。米国における女性アスリートの健康についての問題意識の大きさが伺えます。
新聞で取り上げられていたこれらの問題について、バレエダンサーにおける報告もたくさんあります。
2011年、米国の調査によると、バレエを学ぶ女子学生239人の52.3%が、疲労骨折や骨折、腱鞘炎の経験があること、そして断食29.3%、嘔吐9.6%、下剤の使用4.2%などによって体重の制御を行なっており、食の行動が乱れていることがわかりました。
また、2005年のセルビア・モンテメグロの研究者らが、女性のバレエダンサー30名と運動をしていない女性30名を比較検討したところ、バレエダンサーの半数は痩せ(BMIが18.5未満)であることがわかりました。また、バレエダンサーの20%が無月経であり、10%は稀発月経(月経周期が39日以上)であることもわかったのです。
少し古い報告ですが、1987年、国立および地域のバレエ団の成人のバレエダンサー55人を対象とした調査によると、なんと56%のダンサーの生理が遅れており、19%は無月経。さらに、バレエダンサーの3分の1が、拒食症または過食症といった食事に関する問題を抱えていることもわかりました。
さらに、2015年、ニュージーランドのマッセー大学が、オークランド在住の13歳から18歳の女性の若手のバレエダンサー47名を対象に行った調査によると、13名(28.3%)がフェリチンの値が20μg/L未満であり、そのうち4名が鉄欠乏状態(フェリチン値12μg/L未満、ヘモグロビン12.0mg/dl以上)、1名が鉄欠乏性貧血(フェリチン値12μg/L未満、ヘモグロビン12.0mg/dl未満)でした。バレエダンサーは、鉄欠乏状態のリスクに晒されていることが報告されたのです。