なので、おいらは自分がわかっている用語でも、たまに「そもそもそれって何ですか?」と、わざと質問したりします。
もちろん揚げ足取りとかではなくて、ちゃんとわかっている人でも説明のうまいタイプと下手なタイプの人がいて、その人がどういう説明をするかで、どちらのタイプなのかを見極めたいから。
たとえば、理系で説明が下手な人の場合、おそらく頭の中では「コード」(記号や符号)で理解しているのだけれども、言葉に変換して説明するのが苦手なタイプなのですね。
言葉というのは人によって解釈が違うので、その人の中にきっと自分なりの定義があるのですよ。
たとえば、「あの人、どんな人ですか?」と聞いた。すると「地頭がいい」という答えが返ってきた……と。そうしたら「地頭がいいと頭がいいは、どう違うんですか?」などと確かめない限り、その人がどういう意味で「地頭」を使っているのか、本当はよくわからないはずです。
ということは、そもそも知りたかった「どんな人?」の答えも聞けたことにならないわけです。頭ではなく、地頭と言ったからにはその違いに必ず意味があるはずなのですよ。
こうしたやり取りは「確認作業」であって、決して揚げ足取りではありません。もっと言えば、「そもそも頭がいいって、どういう意味で使っているんですか?」と確認しないと、論理的な議論を展開できないはずなのです。
普通はふわっとした言葉はふわっと聞き流していればいいのでしょう。おいらもどうでもいいときにはそうしています。けれども、いざ議論となったら「なんで、いま言葉を使い分けたんですか?」とか「その言葉とこの言葉の差は何ですか?」といったことを、けっこう突っ込んだりするわけです。
たいていの人は面倒くさいからいちいち確かめないのでしょうが、おいらは人の話を聞くのが好きだし、まあ、揚げ足取りをするのも好きなので、そういう確認作業がまったく苦にならないのですよ。
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