【CB】


1位:谷口彰悟(川崎フロンターレ)

 MF登録ながらセンターバックで全試合フル出場。真の意味でDFとしての才能を開花させる年になった。ビルドアップの能力は、前々から定評があったが、守備面の向上が著しく、川崎の攻撃がうまく機能しない時期でも勝ち点を積み重ねられた要因の1つだったことは間違いないだろう。J1最少の27失点はチームとして記録したものであり、奈良竜樹の激しくもクリーンな対人守備や経験豊富なGKチョン・ソンリョンの安定感、車屋紳太郎の幅広いディフェンス面の貢献なども見逃せないが、谷口の統率と的確なポジショニングがあってこそ。川崎の課題の1つであったゴール前の空中戦やセットプレーの守備はシーズンを追うごとに安定し、谷口も貢献。後半戦の失点減少につなげた。その改善点は来季リベンジを目指すACLでもプラスに働くはずだ。

2位:進藤亮佑(北海道コンサドーレ札幌)

 “ミシャ式”の3バックを早期に習得して、ディフェンスの要として奮闘しながら、ショートパスやサイドチェンジで攻撃の起点としても存在感を示した。空中戦の強さを生かしたセットプレーでの得点力に加え、第22節のG大阪戦では後半アディショナルタイムにクロスで都倉賢の同点ゴールをアシストしたようにチャンスメークでも存在感を発揮する。守備では“カバーリングの鬼”であり、ボランチやウイングバックが突破されても素早く対応してクリアする。リズムが良い時はいいが、崩れ出すと歯止めが効かなくなりがちなチームで体を張り続けながら、終わってみれば警告は2枚のみ。昨季はリーグ戦8試合の出場にとどまったが、今季は34試合フル出場を果たしており、進藤抜きに札幌の躍進を語ることはできない。

3位:槙野智章(浦和レッズ)

 シーズン中にロシアW杯を挟み、監督交代でチームが揺れる中で戦う難しいシーズンとなったが、安定したパフォーマンスで浦和の守備を支え、リーダーシップを発揮。オリヴェイラ監督の就任以降も確かなビルドアップと効果的な攻撃参加で幅広くチームに貢献した。記録した4得点の中でも、第23節のアウェー清水戦でCKのセカンドボールからバックヘッドで流し込んだ同点ゴールは貴重な一撃。ハードかつクリーンに粘り強く守り切るディフェンススタイルは警告0という結果に表れている。また、“89分良くても残り1分で相手のエース級FWに一発でやられてしまう”傾向もかなり減少した。リーグ戦では目標のACL圏内には到達できなかったが、槙野がいたからこその5位であり、天皇杯でのファイナル進出の貢献も大きい。(文・河治良幸)

●プロフィール
河治良幸
サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書は『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)、『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)など。Jリーグから欧州リーグ、代表戦まで、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHKスペシャル『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の“天才能”」に監修として参加。8月21日に『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)を刊行。

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