下川裕治(しもかわ・ゆうじ)/1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(毎週)、「たそがれ色のオデッセイ」(毎週)、「東南アジア全鉄道走破の旅」(毎月)、「タビノート」(毎月)
下川裕治(しもかわ・ゆうじ)/1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(毎週)、「たそがれ色のオデッセイ」(毎週)、「東南アジア全鉄道走破の旅」(毎月)、「タビノート」(毎月)
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ルオチャンのバスターミナル。左側のドアが開いているところがターミナル、唯一の入口
ルオチャンのバスターミナル。左側のドアが開いているところがターミナル、唯一の入口

 さまざまな思いを抱く人々が行き交う空港や駅。バックパッカーの神様とも呼ばれる、旅行作家・下川裕治氏が、世界の空港や駅を通して見た国と人と時代。下川版「世界の空港・駅から」。第64回は中国のバスターミナルから。

【ルオチャンのバスターミナル。左側のドアが開いているところが…】

*  *  *

 中国の新疆ウイグル自治区の西端、カシュガルからその東にある青海省に抜けた。タクラマカン砂漠の南縁を通る道で、シルクロードの名称でいえば西域南道である。かつてはマルコポーロも通ったといわれる道だが、乾燥化が進み、シルクロードの本流は天山山脈の南北を通る天山北路と天山南路に移っていった。

 カシュガルの東約500キロのホータンまでは鉄道が通じている。その先はバスが足になる。ホータンからバスに12時間揺られてチャルチャン。そこに泊まり、翌朝のバスに7時間乗ってルオチャン……。新疆ウイグル自治区内の街を東へ、東へと向かっていく旅。ルオチャンからさらに1日バスに乗ると、青海省に入る。

 検問が厳しい旅だった。ホータンからチャルチャンまでのバスは、途中で7回の検問があった。バスを降りてチェックを受けるのは、ウイグル人と僕ら外国人。漢民族はノーチェックだった。公安はテロを起こす可能性があるウイグル人過激派を最も警戒していた。

 バスターミナルも独特のシステムが敷かれていた。バスターミナルというと、切符売り場やバス乗り場に自由に出入りできるのだが、このエリアは厳重なチェックが待っていた。

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下川裕治

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下川裕治(しもかわ・ゆうじ)/1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(隔週)、「たそがれ色のオデッセイ」(毎週)、「東南アジア全鉄道走破の旅」(隔週)、「タビノート」(毎月)など

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