■1年も経たないうちに、1.5倍の売上目標をクリア
まずは、売上数値を伸ばす作戦を営業マンと話し合い、社長自らが先頭に立ち実践していくことを最優先しました。その結果、営業体制が整い、「売上高を現状の1.5倍にしよう」という挑戦的な目標にも、臆さず合意できるようになっていきます。以前は話し合いをしても議論がかみ合わず、売上の話になった途端、個々人から不平やグチが出てきていたにもかかわらずです。
それから1年も経たないうちに、1.5倍の売上目標はクリアされていきます。創業以来の強い営業が先導役となって、一品である中層建物用手摺りの売上を伸ばす作戦によって、アルミックの売上は伸びていったのです。
■社長と工場長が二人三脚で工場改革を開始
営業主導の会社という、もともとある強みの裏側には、光が当たりにくい工場による支えがありました。営業の要望を第一に考えて、多少の無理もする。悟社長による改革が始まった頃の工場には、「文句を言わずに、とにかくやる」という暗黙のルールがありました。繁忙期になると、深夜の残業時間は1200時間/6カ月(社員25人の合計)にも及んだと言います。
業績は伸びました。しかし、つくる側の人たちの疲弊感は増えていく一方だったのです。これを機会にと、社長と工場長は二人三脚で、前々から気になっていた工場改革に本格的に着手します。
「今の工場のレベルはゼロだ」
ある日、生産革新コンサルタントだった金田秀治先生を招いた勉強会で、ズバリ指摘された一言は、安本工場長の胸に深く突き刺さります。
「努力していないわけではない。自分なりに改善を進めてきていた中で、金田先生から言われた一言はつらかったです」(安本工場長)
しかし、怒りやくやしさという感情は、人の行動を変える原動力にもなります。安本工場長の憤慨は、アルミックにとっての好機を生み出します。安本工場長は自分の感情が揺さぶられたことをきっかけに、工場を変える当事者として能動的に動くようになったからです。