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 いま、コトラーに代表されるこれまで「常識」といわれてきたマーケティング理論が疑問視され始めている。その急先鋒が『ブランディングの科学 誰も知らないマーケティングの法則11』(朝日新聞出版)だ。著者の南オーストラリア大学のバイロン・シャープ教授は、「これまでのマーケティング理論にはエビデンス(科学的根拠)がない。コトラー派はまるで宗教のようだ」と手厳しい。

 問われているのは、そもそもマーケティングやブランディングとは何なのかということだろう。数々の話題を呼ぶ施策で日本マクドナルドの業績V字回復を牽引した伝説のマーケター、足立光さんにコトラー流にとらわれない「現場の常識」をうかがった。

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 僕はわりとマーケティング本を読んでいますが、『ブランディングの科学』には、既存のマーケ本にほとんど紹介されていなかったデータが、多くの違う業種や国、それに長い期間の調査結果をカバーして、たくさん使われています。ある業種やある国・時期の成功例を切り取っただけではないので、とても説得力がありますね。たとえば、「ターゲット・マーケティングは効かない」というときには、「シボレーとフォード(というユーザーが全く違っているように見える自動車)を買っている人たちは、実はまったく同じセグメント」というデータがばっちり紹介されていて反論できないわけです。もっとも、それは昔から僕も知っていた「現実」ではあったのですが。

 シャープ教授の本のタイトルにもなっている「ブランディング」について。僕は、そもそもブランディングはマーケティングの一部だと考えています。現場目線で言うと、マーケティングの仕事というのは大きく三つに分けることができます。

 一つは、人の心を変えて、結果的に行動を変えること。そして、何かを売るための仕事というのは結構いろいろな、誰の仕事でもないような仕事もありますね。それを拾って動かしていくという、プロデュサー的な仕事もマーケティングで、これが二つ目。三つ目は、それらが一回きりで終わるのではなくて、継続的に回っていく仕組みをつくること。この三つ目の中の打ち手のひとつがブランディングである、というのが僕の認識です。

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具体的にどうブランディングするのか?