一方の野手は高齢化が進む外野手の補強が優先ポイントになる。3位に挙げた小郷は三拍子揃ったアスリートタイプの外野手で、レベルの高い東都大学リーグでもその実力は指折りだ。打順は1番か3番を任せられることが多く、脚力のある左打者にありがちな当て逃げをするようなスイングをせずに、強く振り切れるバッティングが持ち味。甘いボールはスタンドに運ぶ力もある。タイプ的には亀井善行の後継者としてぴったり当てはまる。5位の山口は秋田県内では吉田と並ぶ投手として評判だったが、昨年の夏に右肩を故障してからは野手として注目が集まっている。高校時代の中田翔（日本ハム）を彷彿とさせる豪快なスイングで長打力は申し分ない。肩の故障がどの程度治っているかは気がかりだが、チームに少ない右の強打者タイプとして狙いたい選手だ。県内でライバルだった吉田とともに獲得できれば、切磋琢磨しての相乗効果も期待できる。

　高橋監督の辞任や編成担当の刷新など、暗い話題も目立つが、懸念だった和製大砲の岡本が一本立ちしたことは何よりのプラス材料である。次はやはり高校卒のエースと呼ばれる存在が欲しいところ。報道では根尾の1位が有力と言われているが、仮に1位で根尾を獲得したとしても、将来性豊かな高校生投手の獲得はぜひ目指してもらいたい。

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。

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