石井:私の祖母も「誰かと自分を比べるような、はしたないことはダメ」と言ってましたが、その一言は、不登校だった私を支えてくれました。
樹木:そう、そういうことを昔の女性は言えたの、ホントに立派だわ。こう言っては悪いけど、そこらへんのおばあさんでしょ。お坊さんでもなんでもない、ただのおばあさんが「比べるなんてはしたない」と言えるんだもの。
石井:樹木さんが親になられてからも「叱らない」というのは気をつけていましたか?
樹木:干渉はしなかったです。気にしていたのは食べることだけ。どんなにまずくても、そこらへんのものでは間に合わせず、自分たちでご飯を出していました。でも、それだけですね。
石井:お孫さんがいらっしゃるんですよね?
樹木:しょっちゅう迷惑をかける孫がいるんですよ。よく親のほうが鍛えられてます(笑)。
まあ娘にも言ってるのが、「そのうち、ちゃんと自分で挫折するよ」って。まわりはやきもきするけど、あれもこれも親が手を出してあとから「たいへんだったんだから」と言うよりは、本人に任せていくほうがいい、と。
子ども若者編集部メンバー:話は変わりますが、私は人間関係で難しいな、と思うことがよくあります。どうすればいいのでしょう?
樹木:それはへんなかたちで自分を大切にしているからでしょうね。これも親の教育の賜物で、私は自分の評価にこだわらなかったから、本当に自分をぞんざいに扱ってきました。というか、人と揉めるのがへっちゃらなの。たとえば人から贈り物をいただく。でも、だいたいの贈り物って始末に困っちゃう。だから、贈り物に「いりません」って書いて送り返したりしているんだから(笑)。
子ども若者編集部メンバー:すごい(笑)
樹木:どうぞご放念くださいってやつよ。まあ、そのせいでだいぶ苦労してきましたけどね。一度、女優・杉村春子さんに収録現場で「へったなの」って言ったこともあったから。
一同:ええっ!!
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