■改正案から「必要最小限度」の文言が消えた経緯
9条2項の削除について、党内で議論があったことはたしかで、不満も残っています。ただ、現時点で9条2項の削除で国民の理解を得ることは難しい。公明党も「加憲」を主張していて、そこに配慮したこともあります。
たしかに、石破茂さんに代表されるように、2項削除論は党内で根強いものがあります。しかし、一度の改正で9条を大きく変えるのは難しい。各党が折り合える改正案が必要で、2項の削除問題については、その次の憲法改正の時にあらためて議論すればいい。憲法改正は1回で終わるものではありませんので、党内の人も納得してもらっていると思う。
──当初、自民党の有力案では実力組織である自衛隊の戦力について「必要最小限度」と限定する文言がありましたが、最終案では消えました。
党内の議論で、「必要最小限度」と憲法で書くことは「自衛隊の能力を縛ることになり、対外的によくない」との意見が多く出て、最終的に細田博之・党憲法改正推進本部長への一任となりました。本部長による検討を経て党に戻ってきたときは「必要最小限度」の文言は削除されていました。
個人的意見としては「必要最小限度」の文言は残しておいた方が良かったと思っています。ただ、それも今後の議論を進めていくうえで、公明党をはじめ、各党との協議の中で復活する可能性もある。そう考えれば、党の素案としては許容範囲だろうと考えています。
■緊急政令には期限を設けてもいい
──野党は、「必要最小限度」の文言が消えたことで「フルスペックの集団的自衛権が認められることになる」と批判しています。
集団的自衛権については、フルスペックのものを認めていません。平和安全法制の新三要件に合う等身大のものです。
──緊急事態条項については、大規模災害時には法律制定前に内閣が政令を出して、緊急対応をする権限の付与が明記されています。
緊急事態条項についても、党内で様々な意見がありました。大災害が起きたときに衆院の解散はしない、国会議員の任期を延長することなどについては党内の了解はすぐに得られましたが、緊急政令の付与については、党内でも積極論と慎重論がありました。