もちろん議員の仕事は、3項目の回数だけでは分析できない。党内や国会外の活動もあり、目立ちにくい調整役にまわる人もいる。それでも、一票を投じた有権者にとって、トリプルゼロの議員の仕事ぶりがわかりにくいのは事実だ。

 編集部では議員側に見解を文書でたずねた。アンケートに応じなかった議員らを除き、36人から回答があった。

 与党議員の主な言い分としては、法律案が国会に提出される前に与党内で十分に審査しているので、質問しなくても大丈夫だというものだ。

 これに対し、磯山氏は「国会の機能が形骸化している」と指摘する。与党内の事前審査は基本的には非公開で、誰がどのような質問をしたのか、有権者にはわからない。

「与党議員の質問回数が少ないのは、国会軽視の姿勢があると言われても仕方がない。党内で激しい議論があったからといって、国会で静かにしているというのでは、有権者が納得できるとは思えません」(磯山氏)

 質問時間が慣例的に野党に手厚く配分されているという説明もあった。確かに国会では慣例上、野党の時間枠が配慮されている。自民党も時間確保のため、「自分たちの質問する機会が少ない」と主張。与党2対野党8だった質問時間が、与党3対野党7に見直された経緯がある。

 磯山氏は、「与党も質問主意書を使えばいい」と提案する。国会で質問するのと同じように、法律案や政府(内閣)の問題点を文書でただすことができるためだ。

 質問主意書について与党議員は、「提出することは控えるように党から指導されている」としている。内閣に対し質問や意見がある場合には直接伝えることができるので必要ないとの立場だが、磯山氏は矛盾を指摘する。

「政府与党は一体で直接意見が言えるから十分だという論理だと、国会で質問する必要もなくなる。本当に質問がしたいのであれば、質問主意書を使うべきで、これは議員が持つ権利であり、党が制約するのはおかしい。制約を見直したほうがいいのではないでしょうか」

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