でも夏休みにオープンキャンパスにいくつも足を運び、現在進学を決めた大学のよさに気づき、納得して指定校推薦を選んだようです。
私は迷ったときに「この大学のメリットはこれ」「デメリットはこれ」と情報整理する手伝いをしたくらいです。
――それが精神的な支えになったのでは?
そうだと嬉しいですね。よく「指定校推薦なんてラクしている」という人がいますけど、全然ラクなんてしていませんよと、声を大にして言いたいです。
だって、定期テストはもちろん毎日コツコツ一生懸命勉強しているところを見てきたし、無遅刻無欠席を目指してがんばっていた。部活動や行事にも積極的で、それは受験のためだけでなく、常に全力でがんばる高校生活だったんです。「あなたの努力は私がよく知っているから」と応援し続けました。
パパが見守ってくれる……そのサインは雨
――上のお子さんはパパの記憶をしっかり持っていますが、下のお子さんの場合、パパが亡くなったのは5歳のとき。記憶にはあまりないのでは。
そうなんです。もの心ついたときにはすでに、父親の病状は深刻になっていましたから……。
でもね、次女はパパにそっくりなんです。内面も外見も。
たとえば足の爪なんですけど、私と長女はそっくりな形なのに、次女だけ違うんです。「それ、パパの爪だよ!」って。
――川島さんのDNAをちゃんと受け継いでいるんですね。
それだけじゃないんです。最近になって次女が「自分の寝室が欲しい」と言い出したので、夫が書斎として使っていた部屋を次女の寝室にしたんです。
次女はそこで夫のメモ帳を見つけたみたいで「ねえねえ、私と同じなんだけど!」って見せてくれたんです。何かと思ったら、夫が曲を作っているときに使うノートで、歌詞のアイディアの脇に落書きのイラストがいっぱい(笑)。
次女もテストの裏面やノートのすみっこに、へんてこなイラストをたくさん描く子なんです。それをみて、「これって、落書き遺伝子だねえ」って大笑いしました。
次女は記憶ではなく、残されたものやDNAで父親を実感しているんだなって思いました。人はそんなふうに、失ったものをいろんな形で埋めていく……不思議ですね。
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