さらに、私が、「じゃあ、先生がこれからメガネをかけてみるね」と言って、子どもたちの前でメガネをかけてみることもあります。普段はメガネをかけない私が子どもたちの前でメガネをかけてみて、シミュレーションするのです。そして、うれしいリアクションをしてくれた子どもを褒めていきます。

 小学生の子どもたちにとっては、ただ大人や教師が言って聞かせるだけでなく、実際に体験してもらったり練習してもらったりすることが大切です。知ったつもり、できるつもり、分かったつもりでも実際にそのとき・その場にあったとき、できないことがあるからです。

強すぎる事前指導で子どもたちを不安にさせてしまった

 まだ若手教師だったころは、前述したような事前指導をしていませんでした。

 メガネを初めてかけてきた子どもがクラスメイトにバカにされて、トラブルになってからの対応になっていました。イラっとした私は感情的になってしまい、「人の気持ちが分からんのか!?」「自分が言われたら、嫌やろ!」と怒鳴ってしまいました。

 それ以降、担任する子どもたちの性格や態度によっては、「人の外見をからかったり、バカにしたりして、人の心を傷つけることは、先生は絶対に許さない」と、メガネをかけてきた子どもがからかわれる前に、教室で子どもたち全員に語るようになりました。

 ただ、まわりの子どもたちへの言葉がけが強すぎて、「メガネをかけてきた友だちに、何か余計なことを言ったら、傷つけてしまうかもしれない」「先生に怒られるから気をつけないといけない」と不安に感じさせてしまったことがあります。メガネをかけてくる子どもにも、「メガネをかけて行ったらからかわれるんじゃないか……」と、必要以上に不安をもたせてしまったことがあります。私の事前指導は、「傷つけることを言ったらだめ!」という強制や脅迫だけだと気づきました。メガネをかけてきた友だちの気持ちを考えるという大切な指導が足りていないことに気づきました。

次のページへ「メガネの置き場所」も大切だった
1 2 3 4