そこで、メガネを初めてかけてくる友だちの気持ちを考える題材として、絵本を使うようになりました。『メガネをかけたら』(作:くすのきしげのり/絵:たるいまこ、小学館)という絵本です。小学校に通う女の子が初めてメガネをかける不安な気持ちがリアルに描かれています。この絵本を教室で読み聞かせすると、とてもあたたかい雰囲気になりました。メガネをかけている子どもは安心した気持ちになりました。クラスメイトは、メガネをかけてきた子への接し方も優しくなり、「わ~、すごく似合うよ!」など相手を思いやった言葉がけがたくさん見られるようになりました。

何もかもが想定外! なぜそこにメガネを…

 2つ目の対応ミスは、「メガネの置き場所」について事前に声かけしなかったことです。これも若手教師だったころです。夏の暑い時期での体育の時間、子どもがかけていたメガネを外して、床にメガネを直に置いてしまったのです。そして、自分で自分のメガネを踏んでレンズが割れてしまいました。しかも、メガネをかけてきた初日にです……。

 教師経験が浅い私には、何もかもが想定外でした。子どもが授業中にメガネを外すこと。外したメガネをメガネケースに入れないで置くこと。高価で壊れやすいメガネを床に置くこと。そして、置いたメガネを自分で踏んでしまうこと。たぶん、親御さんも思いもよらなかったことだったと思います。メガネをかけることで外見の変化をクラスメイトにかわれないかの心配しかできていませんでした。

講堂に置かれたメガネ(松下先生提供)

事前指導の積み重ねで起きた子どもたちの変化

 そんな失敗から、大切なメガネが壊れてしまわないように、年度当初、教室の子どもたち全員に話すようになりました。

「メガネって高価で壊れやすいから、興味があっても人のメガネを触ったらだめだよ。かけさせてってお願いするのもだめだよ。万が一、下に落として壊れてしまったら大変だからね。レンズも傷つきやすいからね」と。

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