小学校の教室で、担任の先生の机はどこに置かれていましたか? 大阪の公立小学校の現役教師・松下隼司先生は、教員仲間に勧められ机の位置を変えました。すると、生徒とのコミュニケーションが円滑になり、働き方改革にもつながるなど、ポジティブな変化が起きたそう。松下先生が見つけた「先生の机の位置の最適解」とは?

MENU 教室後方に机を置いたらデメリットだらけ きっかけは教員仲間からの「テレビが見やすいよ」 机の位置を変えたら、働き方も変わった

教室後方に机を置いたらデメリットだらけ

 小学校教師(教員22年目、2児の父親)の松下隼司と申します。

 ご自身が小学生だったころ、教室のどのあたりに、“先生の机”が置いてあったでしょうか?

 私が小学生だったころの昭和の時代から教師22年目となる令和の現在まで、小学校の担任の先生の机は、ほぼ同じところ、教室前方の窓側にあることがほとんどです。小学生時代を思い出しても、そうではないでしょうか?

 実は1年間だけ、教師用の机を教室の後方に置いてみたことがあります。でも、子どもにとっても、教師である私自身にもデメリットの方が大きかったです。

 子どもにとってのデメリットは、安心できないことでした。担任が背後に座っていたら、子どもは後ろを振り向かないと担任が見えません。背中から常に見られている緊張感もあります。子どもに緊張感をもってもらうのが目的の一つではありましたが、子どもに不評でした。たしかに「自分事」に置き換えてみると分かります。職員室の自分の座席の後ろに校長先生や教頭先生の机があって常に自分の背後にいたら……。安心して仕事ができないです。

 教師にとってデメリットは、授業中や休み時間、子どもの表情や手元が見えない、確認できないことでした。心身の不調や、学習のつまずきは、子どもの表情や手元を見ればわかりやすいです。休み時間に子ども同士のトラブルがあっても、教師が正面にいれば子どもの表情が見える分、すぐに気づきやすいですが、それができなくなりました。さらに年度末には元の場所に机を戻す手間も……。

 そんな失敗経験もあり、教師用の机は、“教室前方の窓側”が定位置でした。長年、不便を感じなかったからです。ほかの先生方も同じ場所に置いているので、子どもも慣れていたからです。

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松下隼司
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