そして、日本にいるアメリカ人など外国人の友人の多くが、親子のすばらしい思い出になる入学式や卒業式をとてもうらやましがっているのも事実だ。

日本の学校はプリントがお好き

 日本の学校は紙でのやりとりが大好きだ。「地球にやさしいことをしよう」とリサイクルの授業をしているにもかかわらず、紙をたくさん使っている。言葉と行動が矛盾している。紙を減らしたいのなら、まずプリントを減らしてほしい。算数ドリルに直接答えを書いたっていいじゃないか。なぜ別のノートに書かないといけない? 紙の量を考えたら、2倍使ってしまう。ドリルに書いてあることをノートに書き写す意味とは?

 親への連絡も紙がメインだ。息子は小学1年生のとき、「ママ、プリントだよ」と毎回手渡してくれるタイプではなかった。なぜか各部屋に散らばったプリントをわたしが発見し、「ああ、明日コレが必要だ、どうしよう」と慌てるのだ。学校が連絡をする際、あらかじめすべての親に「メールでいいですか?」と質問し、メールかプリントかを選んでもらえばいいのだ。メールを選んだ親にはプリントを渡さない。そうすれば、年間でどれだけ紙の量を減らせるだろう。今はほとんどの親がスマホを持ち、情報を見ることができる。わたしも通勤電車の中で必死にプリントを読みたくはない。

 また、配られたプリントに何かを記入して学校に提出する機会も多い。1回書くだけならまだしも、何回も同じ内容を書くことがある。緊急連絡先など10回は書いた。学校に提出するもの、PTAに提出するものは別管理だという。おそらく手書きで集めた家庭の情報を先生やPTA役員がパソコンにコトコト打ち込んでいるのだろう。もしデジタルなら、親がそのシステムに接続して記入すれば1回で済む。その情報を必要とするところに配れるし、必要な人はアクセスして情報をとることもできる。

 せっかくの技術を効率的に使っていないと感じる。プリントする先生の時間もムダにし、読んだり書いたりする親の時間もムダにする。紙のメリットはひとつしかない。それはマグネットで冷蔵庫に貼れること。わが家の冷蔵庫はプリントでいっぱいだ。

フランス人記者、日本の学校に驚く

西村カリン

フランス人記者、日本の学校に驚く
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西村カリン
西村カリン

1970年フランス生まれ。ラジオ局やテレビ局を経て、1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在は「ラジオ・フランス」および日刊リベラシオン紙の特派員。著書に『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』(大和書房)など。

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