国が変われば学校も変わる――。日本で2人の息子を育てるフランス人記者の西村カリンさんは、子どもを日本の公立小学校に通わせるなかで、驚いたことがたくさんあったといいます。カリンさんがすばらしいと感じた点や違和感を持ったことなどから、日本とフランスの学校や教育の違いが見えてきます。著書『フランス人記者、日本の学校に驚く』(大和書房)からお届けします。

MENU 人生で初めての入学式で感じたこと 思ったよりずっと自由だった日本の小学校 あまり学校に行かないフランスの親 日本の学校行事がうらやましい⁉ 日本の学校はプリントがお好き

人生で初めての入学式で感じたこと

 4月7日、入学式の朝、わたしたち親子は緊張していた。なにせ人生初の入学式なのだ、息子にとっても、わたしにとっても。登校してきた子どもたちはみな真新しいランドセルを背負って、ピカピカの帽子や服を身につけていた。1年生は4クラス、計120名の30人学級だ。体育館の入口で親子は別れ、息子は後から新入生として入場してきた。1年生を安心させるように、2年生がハーモニカの演奏で迎えた。まるで「学校は楽しいよ」と歌っているようだ。同時に、小学校にはルールがあり、ちゃんと守らなきゃいけないよ、というピシッとした空気も漂っていた。

 フランスの学校には入学式がない。9月上旬、初日から授業がスタートする。親は子どもを学校に連れていくと、校舎の前で「バイバイ、いってらっしゃい」と見送る。担任の先生は自己紹介をして、今年1年のスケジュールを説明する。授業は子どもたちのレベルチェックから始まる。黒板にいくつか言葉を書いて、「これは読めますか? 読めませんか?」と聞いていく。日本の学校との大きな違いは、子どもたちの国籍がバラバラなことだ。自分の家で、家族とフランス語をしゃべらない子もいる。1人ひとりの様子をおおまかに把握していく。それが入学初日だ。

思ったよりずっと自由だった日本の小学校

 日本の小学校に話を戻そう。息子の担任の先生は、教師2年目の若い男の先生だった。じつは夫はちょっと心配していた。保育園の担任の先生は女性ばかりだったので、女の先生が大好きな息子はだいじょうぶだろうか、と。でも心配は無用だった。担任の先生は「一緒にいっぱい遊ぶよ!」と元気に声をかけてくれた。やる気とユーモアのある先生だった。

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西村カリン
西村カリン

1970年フランス生まれ。ラジオ局やテレビ局を経て、1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在は「ラジオ・フランス」および日刊リベラシオン紙の特派員。著書に『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』(大和書房)など。

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