――進学先はどんな学校だったのでしょう。
おおらかでゆったりとした校風を持つ、面倒見のいい中堅の男子校です。
彼は競争心が強いわけではなく、どちらかというと穏やかな優しい子で、似た雰囲気を持つ生徒が多く通っている印象です。そして教員も物腰の柔らかい方が多く、精神的に幼い子であっても見守り育てていこう、という姿勢がある。本人も、「自分の性格に合っていたし、通えて本当に良かった」と後に語ってくれました。
中学入学後、学年上位に!その後も好成績を維持
――入学後の成績はどうでしたか?
実は、中学1年の時点でいきなり学年9位となり、その後も大きく順位を落とすことはありませんでした。彼は中学受験時から、与えられた宿題は必ずやってきたし、コツコツ努力ができるタイプでした。中学受験は精神的に成熟している子のほうが有利で、当日に能力を発揮できるだけの強さや、ひらめきも必要です。
一方、彼はコツコツ型なので、定期試験など、日々の努力が身を結ぶタイプの試験のほうが向いていたのかもしれません。そのうえ、学力レベルの近い仲間たちと切磋琢磨するなかで、「頑張ったらもっと上に行けるかもしれない」という自己肯定感も芽生えたのだと思います。
結果的に6年間、上位の成績をキープしたまま 、指定校推薦で早稲田大学の理工系学部に進み、「右」と「左」の漢字で悩んでいた中学受験の時からは想像もできないくらい大きく成長しました。
――この飛躍の理由は何だったのでしょう。
一つは、学校が彼の精神的な成長の度合いに合っていたこと。特に男子生徒によく見られるパターンですが、12歳の中学受験をするタイミングでは精神が幼くて未熟で、中学に入ってから徐々に成長していく。そこを焦らず、見守り育ててくれた校風が合っていたのだと思います。
もう一つは、中学受験では「自分はあまり勉強ができない」と思っていたけれど、進学後に、「実はそうではないかもしれない」と自信を得られたことでしょうか。そして、中学受験で希望する学校に入れなかったことで、入学後、早い段階で「悔しい。見返したい」という気持ちが芽生えたことも彼を大きく成長させた理由だと思います。
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