「中学受験の価値は、偏差値だけでは測れない」と話すのは、「自ら考え、答えを出す」ことをモットーとする中学受験指導塾「應修会」を主宰する茂山起龍さん。受験が終わってからも教え子との交流を続けるなかで、茂山さんは、受験がその子の人生にどう影響を与えるかを見届けてきました。AERA with Kids+の連載「中学受験、その先に」。初回の今回は、茂山さんに「偏差値との向き合い方」について聞きました。
【無料マンガ】中学受験で「偏差値の高い学校」への思いを捨てきれなかった母が、「路線変更」を決断して“わかった”こととは(全38枚)中学受験が終わった後も、学びは続いていく
――2024年組の中学受験が終わりました。生徒たちにはどういう言葉をかけましたか。
第1志望校の合格を手にした生徒にも、手が届かず悔しい思いをした生徒にも、基本的に僕は「受験勉強自体は終わるけれど、勉強はその先も続いていくよ」というメッセージを伝えるようにしています。
受験勉強に専念したことで楽しめなかったことはもちろんあるので、友達と一緒に思いきり遊び、楽しい思い出とともに小学校を卒業し、中学に進学してほしい。ただ同時に、ここが終わりでは決してないので、その後を自然とイメージできるようにしておきたいという思いがあります。
幸い、僕の塾には卒業生たちが制服を着て頻繁にやってきてくれるので、受験後の生活も想像しやすいですし、彼らを通じて「いまの延長線上に中学での学びがある」というイメージを無理なく持てているかな、と思っています。
入試期間中、涙がかれるまで泣いた子も、傷ついた子もたくさんいるでしょう。「学校の価値は偏差値で決まるわけではない」と僕は常々言っています。しかし、本人たちは少しでも高いところを目指していたわけですから、それは仕方がないことなのかもしれません。それでも、やはり偏差値だけでない、言語化できない学校の価値を大切にしてほしい。「進学することになった学校には、どんな面白いことがあるのだろう」と、好奇心を持って学校に向き合ってほしいですし、表面的ではない学校の価値を自分の目で見つけてほしいと思います。
次のページへ偏差値だけが学校選びの指標ではない