「世間のイメージ」とは違う学校の一面を見つけて

――性格に合った学校を選ぶことは、偏差値で上を目指す以上に大切なことなのかもしれません。

 通う生徒たちが醸し出す雰囲気や校風は、学校ごとに異なります。だからこそ、「体育会系で男くさい男子校」「おとなしい子が集まる女子校」などといった世間のイメージだけで選択肢から外してしまうのはもったいない。

 親御さんは、説明会で学校のPRを聞いて終わりにするのではなく、個別相談会などでたくさん質問をして、子どもの性格と合っているか見極めてほしいなと思いますし、長年、学校や生徒たちの様子を見ている塾の先生にも意見を求めてほしいと思います。「世間のイメージとは違う学校の一面」を積極的に見つけにいってください。

――第1志望校の不合格という現実も、前向きな意味で成長の「糧」になったのでしょうか。

「中途半端に物事に取り組んでも、身を結ぶことはない」と小学生ながらに学んだのでしょう。中学受験の時は、「ここを受けたい」「何がなんでも受かりたい」という強い気持ちがなかったから第1志望校に受からなかった、ということに早い段階で気づけた。「なりたい自分」を思い描けず、「次はそうはなりたくない」という気持ちにつながったのだと思います。

 生徒のなかには、第3、第4志望に進学し、残念な気持ちを引きずったまま前向きになれずにいる子もいますが、現実を受け入れ、次へ向かう姿勢こそが大切だと思います。

 彼は、中高一貫校での6年間で「この学校で働く先生たちのような仕事をしたい」と教師を目指した時期もあれば、周囲の環境から医師を目指していた時期もありました。日々前向きに過ごしていたからこそ、その時々に「なりたい自分」を見つけることができた。いま自分がいる場所で、楽しむ努力をしている子どもは伸びていく、と生徒たちを見ていて感じます。

 この男子生徒はこの春大学を卒業し、さらに大きな夢を見つけ、アメリカの大学院への進学に挑戦しています。夢を追いかける彼を、今後も応援していきたいと思っています。

(聞き手/古谷ゆう子)

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茂山起龍
中学受験塾「應修会」塾長 茂山起龍

しげやま・きりゅう/1986年生まれ。中学受験を経験し、大学附属校に入学。大学在学中から個別指導塾、大手進学塾などで中学受験指導に携わる。会社経営の傍ら、2011年、東京・西葛西に中学受験指導塾「應修会」を開校。自らも教壇に立って指導を行う。中学2年、小学6年の男子の父。X(旧Twitter)での中学受験についての発信も人気で、フォロワーは1万人を超える。X: @kiryushigeyama

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