ある日編集Hさんと打ち合わせをしていたとき、その葛藤にぶち当たりました。

 世の中には同性愛者やバイセクシュアル以外にもアセクシュアル(他者に対して性的欲求を持たない)など本当にさまざまな指向の方がいるそう。また、今の時代、恋愛以外にも人と絆を深めたり打ち込める趣味の幅も広がったりしているからなのか、恋愛そのものに興味のない人も増えているとか。私たち世代が刷り込まれてきた幸福論(結婚して子どもを持つことこそが幸せ)がどれほどマイノリティーの人々を苦しめてきたか、私たちが価値観を打ち崩して子どもたちにも伝えていかないと……。

 そんな話をしていると、Hさんがふと問いかけてくれました。

「でもtomekkoさん、旦那さんやお子さんと出会って今幸せであることまで否定しなくてもよくないですか?」

 たしかに、と突っ走りかけていた気持ちにブレーキがかかりました。

 年ごろになったら異性と恋愛をして、そこそこの年で結婚して子どもをつくり家を建てる。それ「だけ」が幸せの形ではない。だからといって、子どもたちに、

「恋愛しなくていいんだよ。結婚しなきゃと思わなくても、子どもを持たなくてもいいんだよ」

 と力説するのも、なんだかおかしな話ですね。

 確実に私の今の幸せは夫と子どもたちなくしては得られなかったものなのに、なんだか目の前の幸せをわざとたいしたことじゃないように振る舞って、別の選択肢ばかりを説くような変な感じがしてしまうから。

 古い価値観を押しつけられて苦しむ人がいることは理解したうえで、その価値観の中で幸せを見つけた人の気持ちだって軽んじられるべきではないですよね。幸せの種類は人それぞれ、それこそ多様性だもの。

 ところで母のオタク気質が遺伝したのか、わが家の長男は日本史好き。戦国武将のエピソードを深掘りすることから派生して家系や名字の分布なども気になるようです。たまさか夫の姓は非常に珍しく、分かっている限りでは義実家とわが家のみ。実は私の旧姓もかなり珍しいので結婚当初は絶滅危惧種同士の結婚と呼ばれ、まぁひとりっ子のわが家はお家断絶(?)したわけですが。それを長男に伝えると、

「ぼくたちが将来子どもをつくってこの家を繁栄させなくては!」

 と大張り切り。(あなたが一番奥手な予感がしますが……?)

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