日本に数多くあるラーメン店の中でも、屈指の名店と呼ばれる店がある。そんな名店と、名店店主が愛する一杯を紹介する本連載。札幌味噌ラーメンの名店「すみれ」の味を独自に進化させた浅草橋の人気店の店主が愛する一杯は、同じ浅草橋を盛り上げる脱サラ店主が繰り出す絶品の豚白湯ラーメンだった。
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■味噌ラーメンの専門店が増えないワケ
JR・都営浅草線の浅草橋駅から徒歩2分。駅近の裏路地にたたずむお店「らーめん 福籠」。札幌の名店「すみれ」出身の店主・畑谷雄飛さんが2013年にオープンした。王道の札幌味噌ラーメンを独自に進化させた一杯が人気の店である。
「すみれ」で11年間の修行後に独立した畑谷さん。当時、東京都では「すみれ」の味が根付いていなかったが、思い切って進出を決意。今や都内をけん引する人気の味噌ラーメン店に成長した。
近年、ラーメンブームと言われて久しいが、都内では味噌ラーメンの専門店がなかなか増えない。その理由を畑谷さんはこう語る。
「まず、味噌ラーメン自体が寒い地域に根差しているイメージがありますよね。寒い時期ならいいですが、夏場に出る感覚があまりない。そこで敬遠する人は多いと思います。それから、製法が圧倒的に難しいんです」
中華鍋でスープと味噌を焼きながら作る独特の工程は、他のラーメンにはない難しさがある。ほんの少し加減が変わるだけで、味噌の香ばしさが損なわれてしまう。畑谷さんは一目見ただけでその難しさを感じたという。「すみれ」での修業は大変厳しいものだったが、「すみれ」のラーメンが好きだったからこそ頑張れた。
「この調理工程でラーメンを作ろうとしたこと自体がすごいと思います。味噌ラーメンを作らせてもらえるようになるまでの3年間、横で作り方を見ていましたが、これを自分でできるようになるのか不安で仕方なかったです。本当に集中して作らないと、信じられないぐらい味がブレてしまうラーメンなんです」(畑谷さん)