私の場合、スポーツやバラエティを中心にアナウンサーの仕事を始めて、途中から報道番組の担当になりました。「バラエティ番組の明るいアナウンサー」という印象がある中で、真剣なニュースをどう伝えていくべきか迷いました。オンエアを見た友人からは、「笑っちゃうんだけど、大丈夫?」と言われたり、真剣な顔のつもりが視聴者の方からは「怖い」と連絡がくる。なかなかうまくできず、最初は苦労しました。
――フリーの選択ができるのも20代で頑張った経験があるからでしょうか。
退社するときもフリーになると決めたときも、ためらいや不安はありました。お世話になった方への申し訳なさや一緒に番組を作っている人たちに迷惑をかけてしまうという気持ち、自分自身の先も見えませんでした。ただ、一歩踏み出したことで、みんなが理解してくれていることに気付けたり、フリーの選択肢が見えたり。テレビ朝日でやれることはすべてやり切ったという思いもあります。だからフリーに飛び込めたのかもしれません。今は色んなことができる代わりに、自分に伴う責任も大きくなる。厳しい世界だけど、挑戦しようと思えるのはテレビ朝日での経験のおかげです。
――今後はどういう仕事をやっていきたいですか。
自分自身をさらけ出す挑戦をしていきたいです。局アナ時代は場の空気を読んで進行する“アナウンサーの仕事”を全うすることに集中していました。それがいい部分もありますが、ちょっと勇気を出して「こうでなければいけない」という型から出てみようかなと思っています。
――憧れの人や、出てみたい番組はありますか。
とても凄い方なのですが……阿川佐和子さんです。私がアナウンサーになったのは、人にインタビューをしたいと思ったからで、そのきっかけの一人が阿川さんでした。小説家、エッセイスト、キャスター、様々なジャンルを飛び越えて活躍されていて、自分をしっかりと持った阿川さんならではの立ち位置があるように感じています。
阿川さんの『聞く力』を読んで色々なことを学びました。いつか、「サワコの朝」にゲストとして出させていただけるくらい興味深い人間になれたらな、と思っています。これまでは取材することが多かったので、インタビューしていただきたいな、なんて。大きな夢になりますね。
――阿川さんは小説やエッセイもたくさん書かれていますね。文章を書いてみたい、と思ったりもしますか。
結婚してから時間ができたので、そのときに感じている思いを書き留めたりはしていました。ただ、それが日の目を見ることがあるのかは……(笑)。書くのは楽しいので、自分の可能性をシャットダウンせずに色んなことができればなと思っています。
(構成/編集部・福井しほ)
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