”打ちたて麺”にこだわる店主が「東京ラーメンストリート」出店を断った意外すぎる理由
連載「ラーメン名店クロニクル」

ちばき屋の「支那そば」は一杯700円。トッピングで煮卵(100円)をつけた(筆者撮影)
【写真】一度は食べたい!こだわりの打ち立て麺(全10枚)
■東京「ちばき屋」店主が震災復興に乗り出す
江戸川区葛西にある「ちばき屋」は1992年のオープン以来、あっさりとした支那そばが老若男女から愛されている。“半熟煮卵”の元祖として、90年代からのラーメンブームを支えてきた。店主の千葉憲二さん(68)はラーメン界のレジェンドの一人としても知られている。
千葉さんが生まれて初めて食べたラーメンは、地元の宮城県気仙沼市にある「かもめ食堂」のラーメンだった。目の前には魚市場があり、朝食を食べる人たちで毎日賑わっていた。あっさり系でほっとする味わいの支那そばが人気で、まさに「ちばき屋」の原点ともいうべきお店である。

店主の千葉憲二さん。ちばき屋 葛西店前で/東京都江戸川区東葛西6-15-2/平日11:30~14:45、17:00~23:00、土曜11:30~23:00、日曜祝日11:30~22:45/定休日なし/筆者撮影
そして、「かもめ食堂」は2006年に惜しまれながら閉店。それから5年後の11年3月11日、東日本大震災が気仙沼を襲った。
居ても立っても居られず、千葉さんはトラック2台に物資を積んで気仙沼に向かう。津波で流されてしまった故郷を目にして絶句した。空き店舗になっていた「かもめ食堂」も跡形もない状態だった。
港にひとつ明かりを灯したい――自分にできることはないかと考えたとき、千葉さんは「一風堂」の河原さんの言葉を思い出した。「かもめ食堂」が復活すれば、地元の人たちの笑顔を取り戻せるかもしれない。千葉さんは、あの「おばあさん」を訪ね、「かもめ食堂」を継がせてほしい、と頼み込んだ。こうして「気仙沼 かもめ食堂復活プロジェクト」がスタートした。

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