AERA 2023年3月13日号より(イラスト 小迎裕美子)
AERA 2023年3月13日号より(イラスト 小迎裕美子)

 仕事優先でがむしゃらに働いてきた均等法第1世代。子育ても仕事も背負い、疲弊する氷河期世代……。上の世代を見てきた20、30代はどう感じているのか。働く女性たちが感じる世代間ギャップとは。AERA 2023年3月13日号の記事を紹介する。

【図】働く既婚女性に聞いた家事育児の分担はこちら

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 均等法第1世代とは、「男女雇用機会均等法」が施行された1986年から1990年までの間に「総合職」として就職した女性たちのことだ。現在は50代半ばから60歳くらい。「男女は平等に働く」とされたものの、働き続けるためには、結婚や出産をせずに男性並みの長時間労働をこなしたり、地方の実家から親を呼び寄せて子育てを全面的にサポートしてもらえる体制を整えたりしなければ働き続けられなかった。

「何が何でも仕事を続けるという覚悟がある人しか生き残れませんでした。育休制度の広がりによって、『続ける』という覚悟をした結果というより、『辞めない』という選択をした人が増えている」(静岡県立大学・国保祥子准教授)

 結果、何が起きているのか。

■キャリアを描きにくい

 21世紀職業財団が2022年2月に発表した「子どものいるミレニアル世代夫婦のキャリア意識に関する調査研究」によると、第1子出産後復帰した時に出世コースから外れる「マミートラック」にいた女性は46.5%もいた。

「均等法世代のような明確な意思がないまま復職する人が増えました。復職する女性のすそ野が広がった結果として自然なことですが、会社側が扱いに悩み、よかれと思ってマミートラックをあてがうことも多い。女性は育児と両立しやすくなりますが、成長の機会を失うことで中長期的なキャリアが描きにくくなるリスクがある」(国保さん)

 働くことへの覚悟の違いを「軽やかさ」だとポジティブに表現するのは、都内の食品関連会社で働く女性(45)だ。10歳と8歳の子どもを育てながら働いてきたが、下の世代との意識の違いに驚くことがあるという。

「育休からの復職時にみんな気負いがなく、軽やかに戻ってくる。そして少し働いてみて『両立よりも子どもと一緒にいたい』と言って、気軽にやめていくんです」

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古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

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