■Z世代はほどほどに

 誰もが同じアイドルを好きな時代から、ミレニアル世代は学生時代に「エビちゃんOL」「もえカジ」と派閥が分かれ、趣味嗜好(しこう)は細分化されていった。さらに下のZ世代は、ロールモデルがそもそもいない。キャリアの上では、仕事優先で子育てを親に全面的にサポートしてもらいながらがむしゃらに働いてきた均等法世代、自分で子育てをして仕事との両立で疲弊する氷河期世代、そしてロールモデルがないと悩むミレニアル世代を見てきたZ世代はどうなのか。

「Z世代はほどほどに働き、ほどほどに子育てしたい、というスタンスの人もいます。そういう人は意外に結婚が早いんです。要は、世代によって、何を大切にするかゴールが違うんです」(木伏さん)

 日本財団が20年7月に実施した「1万人女性意識調査」によると、家事育児の役割分担は40代以上は「主として自分」と回答した人が6割を超えているが、30代は48.5%でガクッと下がる。18~29歳はまた下がって40.7%だった。

 2017年に『ワンオペ育児』という著書を出し、その言葉を広めた明治大学の藤田結子教授(社会学)は言う。

「出世や昇進にこだわりがなく、仕事がそれほどしたいわけではない男性でも、家事や育児はしないのが『男らしさ』だという意識がある。ただ、女性の収入が増えると、男性の家事・育児の時間が増える傾向にある。共働きがより浸透すれば女性はもっと自由になれるとは思います」

■上の世代のおかげで

 とはいえ、日本経済は右肩下がりで、給与は上がらない。そもそも結婚できるのだろうか。子どものいる生活が想像できない──。そんな10~20代半ばのZ世代の駆け込み先として注目されているのが15年にスタートした「家族留学」だ。

 子どものいる世帯に、未婚、既婚の子どものいない人たちが半日ホームステイするもので、運営するNPO法人「manma」(東京都)の越智未空さん(28)は言う。

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