オフィスコンビニ(軽食や飲み物、菓子などを買える無人販売所)にある弁当を買って食べることがほとんど。取材日のランチは「厚木航空基地カレー」とグリーンスムージー。自宅での朝ごはんは果物とスムージーが定番で、若い頃から野菜が好き。51歳にして身長183センチ・体重79キロと理想的な体型を保つ秘訣(ひけつ)はスムージーにあり?(撮影/写真映像部・高橋奈緒)
オフィスコンビニ(軽食や飲み物、菓子などを買える無人販売所)にある弁当を買って食べることがほとんど。取材日のランチは「厚木航空基地カレー」とグリーンスムージー。自宅での朝ごはんは果物とスムージーが定番で、若い頃から野菜が好き。51歳にして身長183センチ・体重79キロと理想的な体型を保つ秘訣(ひけつ)はスムージーにあり?(撮影/写真映像部・高橋奈緒)

「UBSではリーマン時代より報酬も上がりました。顧客との関係を築きつつ提案を繰り返し、資金調達などの案件を獲得したらプロジェクトリーダーとして結果を出すのが仕事でした。

 顧客は三井住友、りそなといった大手銀行やオリックス。上場直後の松井証券を担当した縁で、2006年に松井道夫社長(当時)から『ウチに来ないか』と誘いを受けました」

当時の松井道夫社長の
サポーターだったが奴隷ではなかった

 4代目社長の松井道夫さんは大正期創業の松井証券の対面営業を全廃し、1998年5月に日本初のネット取引をはじめた人物。証券業界の異端児と呼ばれ、先見性と歯に衣着せぬ直言で知られる。

 和里田さんにとって松井さんは一橋大学の先輩でもある。

「共通の話題も多く、最初から親近感を覚えました。自分が証券業界を変えると意気込む松井社長を『僕が手助けしたい』と思った」

 松井さんが和里田さんを迎える際の言葉を今でも覚えている。

「僕のサポーターになってほしいが、奴隷になってほしくない」。

 成功したオーナー社長に意見する人がいなくなり、「裸の王様」になることを恐れていると察した。

「いざ入社して、松井社長に意見すると倍返しどころか10倍になって返ってくることもありました(笑)。それでも社長の機嫌のよさそうなときに再び話を振りました」

 松井さんが和里田さんへのバトンタッチを発表したのは2020年3月。「古いものを捨てなければ新しいものは生まれない」と述べると、記者会見場が一瞬静まり返ったのを筆者は記憶している。

松井証券がある東京・麹町の半蔵門ファーストビル1階に専用スペースが。公式YouTube、動画メディア「マネーサテライト」の撮影スタジオも併設されている(撮影/写真映像部・高橋奈緒)
松井証券がある東京・麹町の半蔵門ファーストビル1階に専用スペースが。公式YouTube、動画メディア「マネーサテライト」の撮影スタジオも併設されている(撮影/写真映像部・高橋奈緒)

 松井証券といえば、iDeCoの対象投資信託の評判がいい。つみたて投資にうれしい超低コスト投資信託「eMAXIS Slim」シリーズの全商品を買えるのは、主要ネット証券で松井証券だけだ。ただ、低コストの投資信託は正直、儲からないのでは?

「iDeCoが収益の柱になるとは思っていません。狙いは認知度向上です。かつてネット取引といえば松井証券でした。オンライン証券の黎明(れいめい)期をよく知る50代以上の認知度は高いのですが、若年層が弱い。

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「鎌倉殿の13人」和田義盛の末裔