年末年始。酔って体に触るなど「わかりやすいセクハラ」は減っているが、「言葉のセクハラ」への理解は浅いという(撮影/写真映像部・加藤夏子)
年末年始。酔って体に触るなど「わかりやすいセクハラ」は減っているが、「言葉のセクハラ」への理解は浅いという(撮影/写真映像部・加藤夏子)

 セクハラが社会問題化してから四半世紀以上経った今も、ハラスメントや性加害をめぐるニュースが、連日のように報じられている。どうすればなくなるのか。カギとなるのは性教育だ。AERA 2022年11月21日号の記事を紹介する。

【図】あなたは大丈夫? その発言、セクハラです!

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 セクハラ、性加害のない社会にするために、なによりも求められていること、それは「教育」だと多くの人が口にする。職場で何がハラスメントにあたるのかを学ぶことはもちろん、幼い頃から、性について学ぶ意義は大きい。だが、学校現場もまた大きな問題を抱えている。

 10月26日、衆議院文部科学委員会。質問に立った立憲民主党の菊田真紀子議員が、

「久しぶりの女性大臣で期待していたのですが……。全然ダメでしたね」

 と呆れたように言って、脱力する場面があった。永岡桂子文科相が「はどめ規定」について「撤廃することは考えておりません」と答弁した時のことだ。

「はどめ規定」とは中学校保健体育の学習指導要領に記されている「妊娠の経過は取り扱わない」という一文のこと。これによって、学校現場は中学生に性交を教えることが困難な状況にある。

 つまり、「性交」が説明できないために、性加害や性被害とは何なのか、ということを子どもたちが理解しにくいのが現状なのだ。

■加害者の心の教育

「一日も早く『はどめ規定』を撤廃してもらいたい」と訴えるのは、助産師で性教育ユーチューバーのシオリーヌさん(30)=本名・大貫詩織さんだ。

「性教育とは人権教育です。自分と相手の人生や、性にまつわることを決めることはその人にしかできないことを学ぶもの。その教育を幼い頃から受けていない弊害が性暴力の背景にあると感じます」

 と危機感を口にする。17年に活動を始めて以降、DMで性的な画像が送られてくるなどの被害を受けてきた。

「性教育がアダルトコンテンツのように捉えられているのかもしれません。女性が顔を出して性を語ると、なんでも下ネタとして消費されうる」(シオリーヌさん)

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古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

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