フィギュアスケートグランプリ(GP)シリーズの初戦・スケートアメリカ(10月21~23日)。男子2位の三浦佳生(かお)だけでなく、女子とアイスダンスでも日本勢が存在感を見せた。AERA 2022年11月7日号の記事を紹介する。
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グランプリ(GP)シリーズ初戦・スケートアメリカでは女子も今後の争いを象徴させるような展開になった。
優勝したのは世界女王、坂本花織(22)。一つ一つの技の安定感は頭一つ飛び抜けており、他を寄せ付けない文句なしの大会制覇だった。坂本にとっては海外のGPシリーズ初制覇でもあった。
2位に入ったのはイザボー・レビト(米国、15)。マリニンとともに昨季の世界ジュニア選手権を制している新星だ。
記者会見でレビトは、
「憧れはカオリ(坂本)」
と本人を前に「告白」。
それに対し、坂本は照れ笑いを浮かべた。
「直接『憧れ』と言われるのがほとんど初めてだったので、すごくうれしい。(レビトは)これから出てくる子。もう、すごくライバル視していけたらいいなと思います」
世界を席巻し続けたロシア女子は、ウクライナ侵攻の影響で国際スケート連盟から締め出されていて、今後の大会参加も不透明だ。
質の高い演技で安定した成績を残す中堅、ベテラン選手に、若手が高難度ジャンプなどで挑んでくる。そんな女子の構図が、スケートアメリカで見えてきた。
■「かなだい」には「華」
そして、アイスダンスの「かなだい」こと、村元哉中(29)、高橋大輔(36)組だ。このカップルは、成績だけではない独自の世界観を見せてくれる「華」がある。
フリーで演じたのは高橋がシングル時代の2007年、世界選手権で日本男子初の銀メダルを獲得した名曲「オペラ座の怪人」だった。
「(アイスダンスで)オペラ座はすごいトップの人が使うイメージ。でも、いつ辞めるか分かんないし、いいんじゃないかって」
高橋は重みのある言葉をサラッと言った。