今夏行われた日本郵政・日本郵便合同インターンシップで、人事部の先輩社員(右)とともに課題に取り組むインターンの学生(写真:日本郵政提供)
今夏行われた日本郵政・日本郵便合同インターンシップで、人事部の先輩社員(右)とともに課題に取り組むインターンの学生(写真:日本郵政提供)

 学生が企業で実際の仕事を体験する「インターンシップ」。志望企業のことを知りたい学生と、自社のことを知ってもらいたい企業の思惑が一致して、近年大いに盛り上がっているという。当事者である学生の声と、企業側の取り組みを取材した。AERA 2022年10月24日号の記事を紹介する。

【グラフ】内定取得企業のインターン参加状況はこちら

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 大学3年の3月に採用情報公開・エントリー開始。4年の6月に面接などの採用選考が始まり、10月1日に内定──。

 これが、現在公式に定められている大卒新卒採用の就活スケジュールだ。経団連が定める倫理憲章、いわゆる「(旧)就活ルール」は2021年卒(21年春入社)以降廃止されたが、今も政府主導で存続している。強制力はなく、外資やベンチャーを中心に早期選考が一般化しているが、日系大手ではルール通りのスケジュールを組むケースも多い。一方、大学生が実際に就職活動を始める時期を見ると、少々様子が異なる。リクルートの調査・研究機関「就職みらい研究所」がまとめる『就職白書2022』によると、今年3月に大学を卒業した22年卒学生が就職活動を開始した時期は「卒業年次前年(3年)の6月以前」が27.0%と最も多く、3年次12月までの累計は61.3%に上る。学生が就活準備のスタートとして取り組むインターンシップ(インターン)へのエントリーが、事実上の就活のスタートとなるからだ。なお、就活サイトなどでは1日のみのインターンを「1day・仕事体験」として2日以上のものと区別するケースが多いが、本記事ではまとめてインターンと表記する。

 就職みらい研究所の栗田貴祥所長はこう解説する。

「3年の夏前から、企業が実施するインターンが本格化します。インターンはキャリア教育の一環で学生が実際の仕事を体験するもので、現状の就活ルールでは、インターンで得た学生情報は採用選考に活用できないことになっています。ただ、早期に接点を持てる絶好の機会として、インターンを活用しようとする企業や学生がいるのも事実です」

■サークルを休んで専念

 栗田さんによると、学生向けにインターンを行う企業は11年度は40%弱だったが、今は8割に迫るという。学生の「参加熱」も高く、23年卒の就活生のうちインターン参加経験があるのは83.2%、経験者の平均参加回数は9.93回に上った。

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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