逆に、さんざん親子ゲンカをしながらなんとか第2志望や第3志望に進むことになったとしても、親から、「最後までよく頑張ったね」「いい学校に出合えたね」と肯定してもらえれば、子どもは、「どんな学校に通っていたって、仮に期待通りの成績がとれなくたって、親は変わらずに自分のことを誇りに思って愛してくれるんだ」という確信を得ることができます。その確信は一生の財産になります。


「○○中学合格」なんて結果は12歳の時点のもの。それに一生すがって生きていくことなんてできません。でも、自分はありのままでいいんだという確信は、その子の人生の確固たる土台になります。


 皆がうらやむような学校に合格しても、結果に不満を持ち続ける親子もいます。一方で、決して偏差値的には高くはない学校に進むことになっても、大満足で中学受験を終える親子もいます。その違いは何でしょう?


 中学受験する理由を「○○中学合格」という分かりやすい結果に求めるか、中学受験生活の過程で子ども自身がどんな内面的成長を成し遂げたかに求めるかの違いです。


(構成/フリーランス記者・宮本さおり)

AERA 2022年10月10-17日合併号