ホラン千秋さん(撮影/写真映像部・高橋奈緒)
ホラン千秋さん(撮影/写真映像部・高橋奈緒)

「写真を載せているうちに、『この弁当を見て気が楽になりました』というコメントがくるようになって。きれいにお弁当を作らなければという呪縛みたいなものがあって、そこから解放される人がいるのだと、予想外の反響に驚きました」

 きらびやかな弁当がSNSに並ぶなか、おかずが1色しかない弁当を恥ずかしく感じる人がいることにハッとしたという。だが、最近では「白米とミートボールだけ」といったシンプルな弁当がコンビニでヒットしていると伝えると、机をバンッと叩いて切り出した。

「何であのお弁当は歓迎されるのに、同じような私のお弁当は『うわぁ』ってなるんだ!って思うんですよ。その気持ちの差がどうして生まれるのかを考えたとき、同じものを作っても、家庭での努力は過小評価されがちだって気づいて」

「豆腐ハンバーグと小松菜(バッグのなかで勝手にお浸し)」(写真/本人提供)
「豆腐ハンバーグと小松菜(バッグのなかで勝手にお浸し)」(写真/本人提供)
ホランさんの弁当(右)と担当マネージャーの弁当(写真/本人提供)
ホランさんの弁当(右)と担当マネージャーの弁当(写真/本人提供)

「衣装選び」はパズルだ

 たしかに、弁当箱には「こうあるべき」という思い込みを詰めがちだ。だが、ホランさんは違う。小さな箱のなかに「宇宙が広がっている」とたとえる。

「そりゃ私だって、心と時間と脳みそに余裕があれば、『曲げわっぱでのっけ弁』を作ってみたいって願望もあります。全部違うおかずにして、紫キャベツや青じそで彩りや仕切りを加えるとか。でも、寝たいし、頑張りたくないし、韓国ドラマだって見たい。人生の優先順位をリスト化したら、『お弁当をきれいに作る』というのはそれらの欲望よりも下のほうにあって。お弁当作りの優先順位が高い人ももちろんいると思いますし、それはそれで素敵だと思うんです。ただ、他人にあわせて自分が高くする必要はないですよね」

ホラン千秋さん(撮影/写真映像部・高橋奈緒)
ホラン千秋さん(撮影/写真映像部・高橋奈緒)

 目の前にあることに優先順位をつけて、てきぱき判断する。その考え方は、弁当作り以外にも垣間見える。

 平日の夕方、週5日間キャスターを務める「Nスタ」では、1週間分の衣装がまとめて用意されるという。トップニュースがスポーツやエンタメの明るい話題のときは、ピンクや黄色など、暖色系の洋服を。事件や事故など、悲しいニュースが続く日は落ち着いた色を自分で選んでいる。

「ときに、大変なニュースが続いてしまった週の後半には、明るい色しか残っていないということもありうるので、そうならないためにどう組み合わせるか、バランスを見ながら衣装のパズルをしています」

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