全国霊感商法対策弁護士連絡会の代表世話人・山口広弁護士はこう語る。 

「旧統一教会は多くの被害者を生み、全国の家庭に重大な亀裂をもたらした反社会的な団体。普通の宗教法人やNPOと交流することとは全く性質が違う。そんな団体と政治家が付き合うことがどれだけ被害を拡大し、すでに苦しんでいる人に影響を与えるのか真剣に考えてほしい」 

■「議員にはありがたい」 

 連絡会は19年、全国会議員に対し、旧統一教会関連のイベント出席や祝電をしないよう求める要望書を送っている。 

 山口弁護士によると、教団が持つ「固い票」は全国で10万票程度だという。それとともに政治家にとって魅力的なのが「選挙支援」だ。 

「選挙を手伝った元信者の話は何度も聞きました。選挙期間中はマンションの一室に寝泊まりし、選挙運動に従事する。普段は宗教勧誘を担っているので、戸別訪問やビラ配り、電話かけはお手のもの。そんな信者が何人も期間中ずっと手伝ってくれるのは、議員にとってありがたいでしょう」(山口弁護士) 

 旧統一教会側にとっても、政権与党に近づくメリットが大きく分けて二つあるという。 

「一つは、経済活動や勧誘活動の際の摘発対策です。2009年に霊感商法で印鑑を売りつけた東京の信者が懲役刑になるなど、10年ごろにかけて摘発が相次ぎました。その反省として、政治家へのアプローチはとことんやるようにと指示が出たのです。もう一つは、政治運動を通した社会への浸透です。旧統一教会は同性婚や夫婦別姓などについて『家庭の秩序を乱す』と反対している。考えが近い議員を支援して、その政策を広めることで旧統一教会自身も社会に浸透しようとしているのです」(山口弁護士) 

■「大臣の意向は不可欠」 

 文部科学省が15年8月、旧統一教会の名称変更を認めたことも注目されている。 

 当時の文科相は、安倍派幹部の下村博文・前党政調会長だった。本誌がこのときの経緯を事務所に尋ねると、「文化庁の事務方から『名称変更の申請があったので事務的に進めます』との報告がありました。特に私から指示することはありません」と文書で答えが返ってきた。 

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