学校改革に成功し、人気校になるケースが中高一貫校で相次いでいる。新しい学校に何が求められているのか。キーワードは21世紀型教育だ。AERA 2022年7月18-25日合併号の記事を紹介する。
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「8月までの学校説明会はすでに満席。学校では収まりきらないので、塾の各教室で開催してもらったりしている状況です」
そう話すのは、来年、芝国際に変わる東京女子学園の山崎達雄・新校開設準備室副室長だ。同学園は1903年に開校した伝統校だが、ここ数年募集に苦労していた。
同学園のように学校を改革し、人気が急上昇するケースが相次いでいる。女子校から共学化して、校名を変更する例が多い。
古くは96年に渋谷女子から変わった渋谷教育学園渋谷だが、本格化したのは06年のかえつ有明(前・嘉悦女子)、07年の広尾学園(前・順心女子)あたりだろう。最近では20年に小野学園が品川翔英、21年に聖徳大学付属女子が光英VERITAS、22年は星美学園がサレジアン国際学園に改名し共学化した。
背景を安田教育研究所代表の安田理さんは次のように話す。
「ここ数年間は受験者数が増加していますが、それでも女子校は受験者数より募集人員の枠の方が多いため募集に苦労している学校が多い。最近の共学志向がさらに輪を掛けています」
ただ、改革したすべての学校が、必ずしも成功しているわけではない。首都圏模試センター取締役・同センター教育研究所長の北一成さんは、成功した学校の共通点について次のように話す。
■21世紀型教育に支持
「小学生の親は30~40代で働き盛り。仕事の現場で時代の変化を敏感に感じている。グローバル化やICT、探究活動など、21世紀型の新しい教育を取り入れている学校が支持されています」
北さんは、改革には学内のコンセンサスが重要だといい、「大胆な人事も必要です。思いきったリニューアルをしないと、学校を変えるのは難しい」と指摘する。
冒頭の芝国際はあえて「誕生」と称している。建設中の校舎は12階建てで、日本唯一のサイエンスインターナショナルスクール・ローラスと共有する。部活や夏休みのセミナーなどを、芝国際の生徒と一緒に行う方針だ。