弟のヘンリー王子とメーガンさんは、プラチナ・ジュビリーでブーイングを浴びせられた(写真/gettyimages)
弟のヘンリー王子とメーガンさんは、プラチナ・ジュビリーでブーイングを浴びせられた(写真/gettyimages)

 かねて国民からは、次期国王はチャールズ皇太子ではなく、ウィリアム王子にすべきという「スキップ・ザ・ジェネレーション(一世代飛ばし)」の声が出ていた。ロイヤル人気ランキングでは、皇太子の順位がウィリアム王子の上に位置したことがなく、女王の次はウィリアム王子であることがほとんどだった。

 しかし、女王の亡き後、皇太子が戴冠し「チャールズ3世」を名乗る可能性が高い。国王の横には、「クイーン」としてやはり戴冠したカミラ夫人が寄り添うことになる。チャールズ皇太子は、英王室でもっとも長い皇太子時代を送った。環境問題や建築など、先見性のある批判や意義ある提言をしてきた。しかし、やはりダイアナ妃への国民の敬愛の気持ちは消えておらず、むしろカミラ夫人を伴う新国王誕生に嫌悪感さえ持つ国民もいると思われる。皇太子は今年秋で74歳だ。70代半ば近くといえば、一般的にはリタイアをしている人が多い。この年齢からの国王の激務は本人にも負担がかかり、90代から70代への代替わりには国民も新鮮な「世代交代」を感じにくいかもしれない。

 それで、チャールズ新国王はロンドンにとどまり、ウィリアム王子とキャサリン妃が外交を担う体制をとる可能性が高い。実質的には、皇太子とウィリアム王子の二人三脚の時代到来と言えるかもしれない。唯一の兄弟であるヘンリー王子のサポートが期待できない状況では、ウィリアム王子にはかなりの重圧がかかりそうだ。ゆるぎない家族愛を支えに、ウィリアム王子が王室の表舞台に出る日は近いだろう。(ジャーナリスト・多賀幹子)

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多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

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