存在感を増しているウィリアム王子とキャサリン妃(写真/gettyimages)
存在感を増しているウィリアム王子とキャサリン妃(写真/gettyimages)

 ウィリアム王子が6月21日に40歳を迎えた。母ダイアナ妃は誕生日が夏至と重なったことから、将来は太陽のように強い国王になると喜んだものだった。その言葉通り、王子はこのところ急速に存在感を増している。

【写真】ブーイングを浴びせられたヘンリー王子とメーガンさん

 誕生日に先駆けて発表されたのは、ウィリアム王子一家の引っ越しだ。行く先はウィンザー城の敷地内にあるアデレード・コテージである。ここは、エリザベス女王(96)の妹、故マーガレット王女の恋人だったピーター・タウンゼント大佐が女王の父ジョージ6世の侍従武官だった時、住まいとしていた。寝室が四つとやや小ぶりで質素であるが、ウィリアム王子夫妻は住み込みのスタッフは置いていないのでサイズに問題はなく、国民の税金を使うリフォームはいっさい必要ないと、早々に発表している。女王が住むウィンザー城には徒歩で数分の距離にあり、何かと便利である。ジョージ王子(8)とルイ王子(4)の将来の進学先が父の母校イートン校であるなら、これまた目と鼻の先だ。女王が亡くなった後は、チャールズ皇太子(73)とカミラ夫人(74)がバッキンガム宮殿に、ウィリアム王子一家はウィンザー城にと、それぞれの住居が確定する予定だ。

 ロイヤルの中で距離的に女王に最も近いポジションが決定したウィリアム王子だが、さらに彼の発言は王室内で力を持ち始めている。6月13日、イングランドの最高勲章、ガーター勲章の叙勲式がウィンザー城で行われた。式典後のパレード参加者リストに、女王の次男アンドルー王子(62)の名前が記されていた。しかし、それを知ったウィリアム王子が急遽、止めに入った。今年3月、フィリップ殿下の一周忌の追悼式典でアンドルー王子が女王に腕を貸して、ウェストミンスター寺院内の正面まで歩き、世界に顔を出した。それについては女王が「私がアンドルーに頼んだ」とかばったが、それがきっかけでアンドルー王子が強く望む公務復帰が本格的に始まることをウィリアム王子は懸念した。未成年の性的虐待疑惑で訴えられたアンドルー王子は「王室の恥」であって、示談金を支払えば解決とばかりに何食わぬ顔で戻ってはいけない。叙勲後にロイヤルらが行進するとき、一般国民も近くで見守る。プラチナ・ジュビリーでは、ヘンリー王子(37)とメーガンさん(40)がセントポール大聖堂の階段でブーイングを浴びせられた。このようなロイヤルへの痛烈な批判と揶揄は再現されるべきではない。ウィリアム王子は女王に待ったをかけ、アンドルー王子の除外を迫った。皇太子は、女王と長男の間で板挟みになったが、結局は「王室のため」と譲らない王子に同意した。今やウィリアム王子は、祖母と父を説き伏せる。

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多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

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