金融政策の大転換を見越して年初から世界的に株式市場が低迷。足元ではウクライナ情勢が緊迫化し株価は大きく下げている
金融政策の大転換を見越して年初から世界的に株式市場が低迷。足元ではウクライナ情勢が緊迫化し株価は大きく下げている

 コロナ禍やインフレで生活への不安が高まる。そんな家計の一助になるのが、株主優待だ。やみくもに手を出さず、ルールや投資先の見極めが欠かせない。AERA 2022年3月7日号の記事を紹介する。

【図解】株を買うリミットは具体的に何日?下落しやすい日は?

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 世界の株式市場は今年に入って軟調な展開が続いている。新型コロナウイルスへの警戒感は収まらず、ウクライナ情勢の緊迫化が追い打ちをかける。目先には、金融市場を揺さぶる大きなイベントも待ち構えている。

「3月15~16日に開かれる米FOMC(連邦公開市場委員会)では、利上げの実施が決定される見込みです。こうしたことから、3月下旬にかけては投資のタイミングや銘柄の選択を慎重に見極める必要があります」

 こう忠告するのは、松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎さんだ。

 FOMCとは、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)による金融政策決定会合のこと。2月半ばに公開された前回会合の議事録では、予想以上のインフレ(物価上昇)に危機感を抱き、政策金利を「まもなく引き上げることが適切」と結論づけていた。

 利上げは景気の拡大にブレーキをかけることを意味し、株価にとってはネガティブだ。実際に利上げが決まれば、2018年12月以来のこととなり、2年にわたって続いた米国の「ゼロ金利政策」も解除される。

 最近の株価低迷は、こうした金融政策の大転換を踏まえたものだとも受け止められる。

 もっとも、窪田さんは次のように指摘する。

「利上げは特にグロース株(成長性の高い銘柄)にとって逆風で、現に年初から下落傾向が鮮明でした。一方で、対照的にバリュー株(企業価値よりも株価が割安な銘柄)は堅調に推移しており、こちらのほうは投資対象として妙味がありそうです」

 しかも、バリュー株の中には配当や株主優待が魅力的な銘柄が数多く潜んでいる。

3月中旬以降が狙い目

 日本企業の多くは3月末に本決算を迎える。株式をうまく買うタイミングでもあるのだ。

 配当や優待をもらうには、投資先が定めた「権利確定日」に、自分の氏名が株主名簿に登録されている必要がある。権利確定日はおおむね、投資先の「決算日」と同一だ。

 高い配当を出したり、優れた株主優待を実施したりする企業は人気を集める。となると、それらの権利がもらえる決算日が近づくにつれて、株価の上昇が顕著になるというのが通常のパターンだ。

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大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

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