[群馬]川場田園プラザ/2014年に国土交通省から「全国モデル『道の駅』【6駅】」に認定された。武尊山の雄大な自然が広がる(撮影/門間新弥)
[群馬]川場田園プラザ/2014年に国土交通省から「全国モデル『道の駅』【6駅】」に認定された。武尊山の雄大な自然が広がる(撮影/門間新弥)

 近年、「道の駅」が全国各地に増え続けている。地域性と娯楽性を日々追求し、多くの人を引きつけている。AERA 2022年1月3日-1月10日合併号の記事を紹介する。

【写真】和歌山県の道の駅「すさみ」に隣接するホテルで提供される「朝食ボックス」

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 緑の丘にレジャーシートを敷き、シャボン玉を飛ばして遊ぶ親子。柔らかな日差しの下、ウッドデッキでランチを楽しむ夫婦。愛犬を連れた人もいる。

 12月上旬の日曜の昼下がり、群馬県川場村の「道の駅川場田園プラザ」は老若男女問わず多くの人でにぎわっていた。

 ベンチに座って名物のヨーグルトソフトクリームを食べている親子は、年に6~7回、この場所を訪れているという。

「千葉県から通っています。車で片道2時間かかりますが、この大自然は魅力的。新鮮な野菜や果物が買えるのもうれしい。今日のお目当てはリンゴです」

 東京都から初めて来た親子は、

「アスレチックもあるし、朝からずっといても飽きない。このあと近くの温泉に寄ってから東京へ戻るつもりなんですけど、泊まっていきたいぐらいです」

 と名残惜しそうに話す。

■イメージを覆す場所

 約6ヘクタールの敷地に瓦屋根の建物が立ち並び、ガチョウが泳ぐ池まで備えるこの場所。一見テーマパークのようにも思えるが、そうではない。全国屈指の人気を誇る「道の駅」だ。

「道の駅といえば、田舎にある少し小さめの休憩場所のようなものを思い浮かべる人もいるでしょう。でも、そんなイメージを覆す場所がたくさんあるんです」

 こう話すのは、『フリーペーパー道の駅』を発行する「RSP道の駅」営業推進統括部長・大池高史さんだ。

 例えば、房総半島南部にある「道の駅保田小学校」(千葉県鋸南町)は、廃校をリノベーションした珍しい道の駅。学習机や備品も再利用するなど、そのままの姿を残すことにこだわる。

 東北道の宇都宮インターチェンジから車で5分の「道の駅うつのみや ろまんちっく村」(宇都宮市)は、東京ドーム10個分という広大な敷地に、体験農場や森遊び、ドッグラン、温泉やプールまである滞在体験型ファームパークだ。

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