【2gether THE MOVIE】映画版はドラマファンの熱い思いに応える形で制作された。主演のブライト(右)とウィンはこの作品でブレーク(c)GMMTV
【2gether THE MOVIE】映画版はドラマファンの熱い思いに応える形で制作された。主演のブライト(右)とウィンはこの作品でブレーク(c)GMMTV

 ところで、BLドラマと言っても、タイでは「ふつうの恋愛ドラマと変わらない」(みすれいんさん)。「さわやかな学園ラブコメ」(前出の30代女性)が多いらしい。タイ関連の事業を担当する、テレビ朝日ビジネス統括部の水高愛さんは、「あえて例えるのであれば“特撮ヒーロードラマ”のようなもの」と教えてくれた。

「すべてではないですが、タイBLドラマは時に新人俳優の登竜門的な扱いになることも。そこで人気を得た実力のある俳優たちが、他ジャンルのドラマや映画などに出演しスターになっていく。決して色眼鏡で見るものではありません」(水高さん)

 好きな俳優ができればドラマを字幕なしで見たい。タイ語を学ぶ人も増えてくる。

 語学学校タイランゲージ・ステーションでは、昨年9月から女性の受講者が増え始めた。それまでは7割が、ビジネス利用やタイ好きの男性だったが、「今や逆転。7割が女性です」と代表取締役の早坂裕一郎さん。最初、理由はわからなかったが、次第に受講者たちが「タイのBLドラマにハマった」とカミングアウトした。

「みんなで一緒にドラマでタイ語を学んだら面白いのでは、と『タイのドラマを観る会』を企画しました」

 この会では、冒頭のみすれいんさんがハマった「2moons」でオリジナルテキストを作成し、タイ人講師とみすれいんさんがナビゲーターを担当。昨年12月に初めてSNSで受講者募集の告知をすると3時間で定員オーバー。急遽もう1クラス増やすことになった。(フリーランス記者・坂口さゆり)

>>【後編】「タイBLドラマにハマる人が急増 SNSでの反響は段違い、テレビ局の担当者もハマるその魅力」へ続く

AERA 2021年12月20日号より抜粋