「メンタル不調が疑われる同僚や部下で、始業前後にメールやLINEで欠勤連絡が入り、その理由があいまいなようなら、かなりの確率で在宅時差ぼけが考えられます。本人としては、朝起きた時だるく、仕事に集中できないといった自覚症状があるはず」(同)

 体内時計は25時間周期で動いており、朝の太陽の強い光を浴びることで、地球の24時間周期に合わせてリセットされる。在宅時差ぼけ対策としては、とにかく朝は決まった時間に起き、カーテンを開け、太陽の光を存分に浴びる。

■うつ予防にABC

 休日も寝だめをせず、決まった時間に起きる。さらに「同じ時間に食事を取る。特に朝食は必ず取る」「朝にストレッチをする」「夜、パソコンやスマホなど明るい光を浴びない」ことも、体内時計を乱れさせないために重要だ。

「体内時計の乱れはうつ病や肥満、糖尿病なども招く。放置してはいけません」(同)

 結局は「規則正しい生活」が重要なのか……と思った人もいるだろう。残念ながら、そうなのだ。国立精神・神経医療研究センターなどの研究グループが2018年に発表した日本人約1万2千人対象の大規模な調査結果もそれを裏付けている。うつ病になったことがあると答えた人はそうでない人と比較してストレス症状が強く、2型糖尿病や肥満、脂質異常症といった生活習慣が関係する病気の割合が多かった。また、うつ病患者では朝食を食べる頻度が有意に低く、間食・夜食の頻度が有意に高く、運動不足も多かった。

 労働衛生コンサルタントとしてメンタル疾患の予防方法や休職者に対する復職支援策を多くの企業に提供する医師の櫻澤博文さんは、テレワーク明けのメンタル不調はもちろん、うつを予防する3大要素として「ABC」を提唱する。Aは有酸素運動であるエアロビクス(Aerobics)、Bは朝食(Breakfast)、Cはたばこ(Cigarette)、禁煙だ。

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