(左から)中島岳志、竹田昌弘、保坂展人[写真:朝日新聞社(中島さん)、本人提供(竹田さん)、小暮誠(保坂さん)]
(左から)中島岳志、竹田昌弘、保坂展人[写真:朝日新聞社(中島さん)、本人提供(竹田さん)、小暮誠(保坂さん)]

■国会が形骸化している

中島:議員定数が3から5の中選挙区制で連記制にするのがベストだと思いますが、テリトリー(選挙区)を広げなければいけないので現職議員は嫌がるでしょうね。制度改革をするなら、比例代表をブロック制から全国区に変えるのがハードルが低いと思います。

──小選挙区で落選した候補者が比例で復活することを「ゾンビ」と揶揄(やゆ)する声もあります。

保坂:比例は邪魔者だという誤った意見ですね。落としたのに浮かび上がったと。でも、1人しか当選しない小選挙区より幅広い民意を反映する制度です。そもそも小選挙区で勝ち上がるためには、国会であまり活動しないほうがいいんです。国会で質問しても、注目してくれる人はほとんどいません。それより地元のお祭りにたくさん出て、有権者に身近に感じてもらうほうが効率的です。これが政治の劣化を招いています。

竹田:国会では全く議論がなく形骸化しています。安倍政権以降、野党の存在価値はないかのようにも振る舞われてきました。

保坂:野党が弱すぎると(国会が形骸化するので)税金の無駄遣いになるんです。身を切る改革どころか、国会の機能はやせ細り議論が実らない。もっと仕事ができる改革が必要です。野党が強くなれば、与党は政権交代を意識して政策議論にも緊迫感が出ます。

竹田:今回、もう少し野党が増えればよかったんですけど。

保坂:まもなく各地の地方自治体の首長・議員選挙も控え、来年夏には参院選もあります。春には布陣も決まります。今後、野党がどこまで成長できるのか、今回の反省と再構築の議論が必要です。

◎保坂展人(ほさか・のぶと)/1955年生まれ。世田谷区長。ジャーナリスト。96年から衆院議員3期11年。総務省顧問を経て現職(3期目)

◎竹田昌弘(たけだ・まさひろ)/1961年生まれ。共同通信編集委員兼論説委員。編著書に『憲法ルネサンス』など

◎中島岳志(なかじま・たけし)/1975年生まれ。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。著書に『「リベラル保守」宣言』など

(構成/編集部・福井しほ)

AERA 2021年11月15日号より抜粋