大学はコロナ禍で、昨春からサークル活動を制限。1年半以上と制限が長期化するなか、サークルの存続を危ぶむ声が上がり始めている。大学サークルは、マイナーなスポーツや文化活動のファン層の確立にも貢献してきており、その影響は学内にとどまらない。AERA 2021年11月8日号から。
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ステージの熱気に、模擬店のにぎわい、室内イベントの白熱──秋の風物詩ともいえる大学の学園祭。だが、昨年に続き今年も多くがオンラインでの開催となった。
こうしたなか私立大学2年の女子学生(20)の胸には不安が渦巻く。女性の通う大学も学園祭はオンラインになり、所属するダンスサークルは参加しないことになった。オンラインでは音楽や振り付けの著作権の制約により、希望するダンスが踊れないからだ。また、声援や拍手を受けながら、観客と共に空間を作り上げるライブと、オンラインは別ものでもある。
例年、3年生は学園祭での発表を区切りに引退し、2年生が運営を引き継ぐ。その方針は今年も変わらない。女性は言う。
「私たち2年生は、1年生の前期はキャンパスに全く入れず、サークルの勧誘も禁じられていました。後期になって解禁され入部しましたが、1年生の間は一度も練習がありませんでした。初めて練習に参加したのは2年生の5月です。今年の1年生に『ここって、どんな感じのサークルなんですか?』と聞かれても『私たちにもわかりません』と答えるしかありませんでした」
■背中を見る機会がない
5月から学内で週に2回再開した練習も参加者は少なかった。オンライン授業があり日程が合わなかったり、サークルの休眠状態が長期化するなかモチベーションが下がったりで、だれがまだ部員で、だれが幽霊部員なのかもわからない状態だという。
「私たちの代は学園祭も合宿も経験がなく、ダンスの経験者もいません。これからどう運営していけばいいのか……。先輩の背中を見て学ぶはずが、背中を見る機会がほとんどありませんでした」(女性)
昨春から新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの大学はキャンパスへの入構を制限し、サークルの対面での活動を制約してきた。しかしその状態が1年半以上と長期化するなか、夏ごろから大学のサークルの存続を危ぶむ声が上がり始めた。