岐阜市の支部会合でリモートであいさつする野田氏/9月19日、岐阜市 (c)朝日新聞社
岐阜市の支部会合でリモートであいさつする野田氏/9月19日、岐阜市 (c)朝日新聞社

 政治に期待したいのは、大前提として相談窓口と支援団体への助成の拡充です。いま孤独を抱える人たちに寄り添っているのは僕たちNPOですが、そこへの支援が圧倒的に足りません。

 その上で求めたいのが「予防的な政策」です。これまで国は、家族や友人がいないなど客観的に把握できるものについては支援制度を作ってきました。しかし、孤独は主観的な感情。家族や友人がいても孤独を抱えている人はたくさんいます。

 こうした個人の主観的な感情にフォーカスするには、予防的な政策が必要となります。まず国は孤独とは何かをしっかり定義する。僕は、孤独を「本人が望んでいないにもかかわらず、誰にも頼れない状態」と定義しています。次に具体的なエビデンスを持って政策を進め、効果検証をしっかり行うことです。

 スティグマ(差別や偏見)対策も重要です。日本では自殺者の7割が男性です。だけど、僕たちへの相談は圧倒的に女性が多い。それは、男性は他人に悩みを打ち明けるのは恥だと思っているから。スティグマをなくすには、「孤独は人生のどこかのタイミングで誰もが感じる。恥ずかしいものではない」というメッセージを政治が発信することが重要です。

 コロナ禍で、望まない孤独に陥る人はさらに増えていくでしょう。対策はまったなし。新首相には期待したいです。

(構成/編集部・野村昌二)

AERA 2021年10月4日号

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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