グラミー賞ノミネートの新星・挾間美帆「ジャズを化石にしたくない」 NYでの活動の葛藤語る (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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グラミー賞ノミネートの新星・挾間美帆「ジャズを化石にしたくない」 NYでの活動の葛藤語る

定塚遼AERA
挾間美帆(はざま・みほ)/1986年生まれ。幅広い作品で知られ、坂本龍一や山下洋輔の編曲も手がける。デンマークラジオ・ビッグバンド首席指揮者(写真:Hikaru.☆)

挾間美帆(はざま・みほ)/1986年生まれ。幅広い作品で知られ、坂本龍一や山下洋輔の編曲も手がける。デンマークラジオ・ビッグバンド首席指揮者(写真:Hikaru.☆)

 既存のジャズの概念を超え、飄々とその地平を広げていく。昨年のグラミー賞にノミネートされた次代の旗手・挾間美帆。7月30日に東京芸術劇場で開く公演を前に、話を聞いた。AERA 2021年7月19日号に掲載された記事を紹介する。

*  *  *
――米ジャズ界の新星・挾間美帆が東京で今月開く公演のテーマは「スプラッシュ・ザ・カラーズ!」。カラーズには「人種」の意味合いも含む。

 曲作りのとき、カラフルにいろんな色が散らばっているイメージが頭から離れなくなりました。そして、色は人種のアイデンティティーや、時代背景、あるいは個人の人生の背景など、とても多くのものを描写できることにも気づいたんです。

■先輩が切り開いた道

――1950年代に渡米し、現地で活躍したジャズピアニスト・穐吉(あきよし)敏子の「ロング・イエロー・ロード」など、タイトルに色が入った曲を演奏する。

 自分も黄色人種ですし、穐吉さんの「イエロー」が表すものは何かを考え、調べたら、彼女が米国で歩んできた長くつらい道のりについて言及しているコメントを見つけました。私もニューヨークに住んでいて、人々が分断されていくことや、怒りの矛先が無実の人に向かうことへの恐れはあります。しかし、自分の置かれている環境は「長くつらい道」とはほど遠い。曲にして表現しなければいけないほどの苦痛は、どれほどのものだったのだろうと思います。

――「ジャズマン」という言葉が対義語もなく跋扈(ばっこ)するほどの男社会。米国ではそこに人種差別も加わった中で、穐吉らは音楽をつむいできた歴史がある。

 米国でも、穐吉さんの時代は、着物を着ないと演奏させてもらえないということもあったそうです。しかも、はだけていたらいい。人種差別だけじゃなく、性的ハラスメントにも当たる。今のところ私にはそういう経験はない。そういった意味では、苦労をして切り開いて下さった道の先に、今の自分の創作環境があるんだと痛感します。

――5歳で作曲を始めた。国立音楽大学に入るまでは、クラシック一筋だった。

 小さい頃からあまのじゃくだったから、「こういう演奏がコンクールで通りやすい」とか、そんな指導に影響されてたまるか、って思っていたんです。演奏と違い、作曲は上も下もないから性に合いました。ずっとクラシックを作っていましたが、大学のサークルでビッグバンドに惹(ひ)かれ、自分の作りたい音楽がこれだ、と思いました。その後、まったく仕事がない苦しい時期を経て、今があります。


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