「助けるにはオペしかない」でも 肺を潰して進行する側弯症の治療に家族は葛藤した (1/4) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「助けるにはオペしかない」でも 肺を潰して進行する側弯症の治療に家族は葛藤した

連載「障害のある子と生きる家族が伝えたいこと」

江利川ちひろAERA#AERAオンライン限定
※写真はイメージです。(getty images)

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江利川ちひろ/1975年生まれ。NPO法人かるがもCPキッズ(脳性まひの子どもとパパママの会)代表理事、ソーシャルワーカー。双子の姉妹と年子の弟の母。長女は重症心身障害児、長男は軽度肢体不自由児。2011年、長男を米国ハワイ州のプリスクールへ入園させたことがきっかけでインクルーシブ教育と家族支援の重要性を知り、大学でソーシャルワーク(社会福祉学)を学ぶ

江利川ちひろ/1975年生まれ。NPO法人かるがもCPキッズ(脳性まひの子どもとパパママの会)代表理事、ソーシャルワーカー。双子の姉妹と年子の弟の母。長女は重症心身障害児、長男は軽度肢体不自由児。2011年、長男を米国ハワイ州のプリスクールへ入園させたことがきっかけでインクルーシブ教育と家族支援の重要性を知り、大学でソーシャルワーク(社会福祉学)を学ぶ

「インクルーシブ」「インクルージョン」という言葉を知っていますか? 障害や多様性を排除するのではなく、「共生していく」という意味です。自身も障害を持つ子どもを持ち、滞在先のハワイでインクルーシブ教育に出会った江利川ちひろさんが、インクルーシブ教育の大切さや日本での課題を伝えます。

【写真】筆者の江利川ちひろさん

 長女は重度の側弯です。

 側弯とは、脊椎側弯症のことです。脳性まひの合併症のひとつに脊椎側弯症があります。筋肉の緊張が強いために身体に無理な力が加わることが原因であり、自分で動くことが難しい重症心身障害児(重心児)に多く見られます。長女は現在、背骨の曲がりにより肺が圧迫され、人工呼吸器を使いながら生活しています。今回は長女の側弯症についてお話します。

■側弯による呼吸苦

 2018年8月、長女の身体に大きな変化が現れました。

 夜中に深く眠ると反り返って唸りながら泣き出す日が増え、理学療法士さんから、「側弯の進行による呼吸苦ではないか」と指摘されました。脊椎側弯症が見つかったのはその2年程前で、当時言われた湾曲は52°でした。

 体幹装具を着けて経過観察中でしたが、身長が急激に伸びて、一気に病状が進んだ認識があったため、まずは主治医のター先生に相談しました。

 ター先生は、長女の肺の背中側に聴診器を当て、音を聴きながら首から腰までのラインを確認していました。もう100°は超えていると思われました。

「お母さん、これはかなり深刻な状態だと思います。側弯で少しずつ右側の肺がつぶれてきている印象でしたが、左のこのあたり……これだけ硬いと、CTを撮ったら、中はかなり白くなっているんじゃないかな。そろそろ整形外科の先生と相談してオペを考えますか?」

■「この子は痛い思いだけは…」

 側弯が見つかった時、整形外科のドクターからは、このまま進行していくといずれ人工呼吸器が必要になったり、腸閉塞などが起こったり、命に関わるリスクが高くなると言われていました。

「確か以前、ゆうが死にかけた時に、『10歳まではどんな状態でも良いので生かして下さい。でも、10歳になったら、延命治療はせずによく頑張ったねと言ってあげたい』と話したことがあったと思うのですが、やっぱり12歳になっても、簡単に手離すとは言えないものですね。でもね先生、この子は痛い思いだけは……」


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