その二種類の本棚を、上の子はぐちゃぐちゃに混ぜてしまいました。わたしが分類しなおしても、また同じことが起きました。子どもにとっては、絵本は言語で分けるものではなかったのです。「パンの本が読みたいときはこれ、お姫様の本が読みたいときはこれ」などと本の内容で選んでおり、それが日本語で書かれているか英語かはまったく関係ありませんでした。

 それ以来、二言語を厳密に分ける必要はないんじゃないかと考えるようになりました。上の子も、「今は英語で話したい」「幼稚園で起きたことは日本語で説明したい」と気分やシチュエーションで使い分けているようです。単語も、前述したように英訳・和訳が難しいものは日本語・英語のまま使い、結果として二言語のミックスになっています。

 わがやのやり方が適切かどうかはわかりません。わたしは言語学の専門家ではありませんし(大学の専攻は英語学だったけど、かなりの落第生だったし…)、子どもたちも5歳・2歳と幼く、まだ言語形成期のごく初期です。ただ、そんなわが家の現在進行形な実践例を少しでもお伝えできればと思い、これから隔週で記していくつもりです。お付き合いの程、よろしくお願いします。

〇大井美紗子(おおい・みさこ)/ライター・翻訳業。1986年長野県生まれ。大阪大学文学部英米文学・英語学専攻卒業後、書籍編集者を経てフリーに。アメリカで約5年暮らし、最近、日本に帰国。娘、息子、夫と東京在住。ツイッター:@misakohi

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大井美紗子(おおい・みさこ)/ライター・翻訳業。1986年長野県生まれ。大阪大学文学部英米文学・英語学専攻卒業後、書籍編集者を経てフリーに。アメリカで約5年暮らし、最近、日本に帰国。娘、息子、夫と東京在住。ツイッター:@misakohi

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